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2012年10月18日
iPS細胞からインスリン分泌組織 糖尿病の再生医療に期待
病気などで損なわれた体の器官や組織などを再生して、機能回復を目指す「再生医療」という分野が、山中伸弥・京都大学教授のノーベル賞受賞で注目されている。もっとも期待されているのが、山中教授が2006年に開発した人工多能性幹細胞(iPS細胞)だ。いまや世界で研究競争が繰り広げられ、日本でも大勢の研究者が取り組んでいる。
iPS細胞からインスリン産生細胞を産出

iPS細胞
出典:科学技術振興機構
がん化減らすiPS細胞作成法を確立
期待が強いiPS細胞だが、大きな課題も抱えている。「がん化」しやすいとされている点だ。人工的に作られたiPS細胞には、腫瘍(がん)を作りやすいというリスクがある。この課題を克服する研究も進められている。
山中伸弥教授が所長を務めるiPS細胞研究所は、iPS細胞の作成方法として、がん化する恐れを低減した方法の開発にも取り組んでいる。安全性に関する問題を乗り越えて治療に利用できるようになれば、糖尿病をはじめとする多くの病気の治療ができるようになると期待されている。
山中教授らが2006年に発表した論文でマウスiPS細胞を作製するときに用いた初期化因子の一つ「c-Myc」は、がん化しやすい遺伝子として知られている。この遺伝子が細胞内で活性化し、がんが引き起こされる可能性が指摘されていた。そこで研究チームは2010年7月に、c-Mycの代わりにがん化の恐れの低い「L-Myc」に置き換えてiPS細胞を作製する方法を開発した。
では、現在進んでいる再生医療にかかわる研究は、いつ頃治療として実現するのだろうか。現在、多くの幹細胞治療の研究は技術的にも安全面においても実現に向けた長いステップの初期段階にあり、すぐに治療に使用することはできない。新たな薬や病気の治療法を開発するのに成功したとしても、患者の治療に使用するまでには安全性や副作用のテストを含む多くのステップを必要とし、順調に進んだとしても10年以上の歳月がかかるという。
京都大学iPS細胞研究所文部科学省 再生医療の実現化プロジェクト
JST戦略的創造推進事業iPS細胞等の細胞リプログラミングによる幹細胞研究戦略事業プログラム
内閣府 最先端研究開発支援プログラム
JST戦略的イノベーション創出推進事業
厚生労労働科学研究費補助金構成科学基盤研究分野 再生医療実用化研究
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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