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2012年09月26日
清涼飲料を飲むとなぜ太る 遺伝子を解明
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米国では、炭酸やフルーツ飲料といったいわゆる砂糖入り飲料の消費が1970年代と比べて2倍以上伸びた。この間、成人の肥満人口も増加し、全米の30%を占めるまでになった。

肥満には、肥満になりやすい体質(遺伝因子)と、生活習慣(環境因子)の両方が影響する。「肥満の遺伝因子をもつ人が、“自分には肥満の遺伝因子がある”と事前に知っていれば、高カロリーの食品を避けるなどして、肥満につながりにくい生活習慣を選べるようになるだろう」とハーバード公衆衛生大学院のLu Qi氏は話す。
研究チームは、1980年代と1990年代に開始された3つの研究に参加した3万3,000人以上のデータを解析した。参加者は食事や清涼飲料などの嗜好食品について、アンケート調査に回答していた。
参加者はゲノム(遺伝子)情報も提供しており、肥満に関連する32の遺伝子マーカについても解析した。さらに、遺伝マーカの数やタイプにもとづき、遺伝の遺伝的な疾病素因についてスコア化を行った。
その結果、肥満遺伝子の素因のある人は肥満の頻度が高いことが示された。さらに、高カロリーの清涼飲料を好んで飲む人ほど、その傾向は強まることが分かった。
遺伝的リスクのスコアが高いと肥満の危険性が高まることが示されたが、清涼飲料をよく飲む人ほどその関連は高かった。高カロリーの清涼飲料を月に1杯未満飲む人では35%、1〜4杯飲む人では59%、1日に1杯以上の飲む人では235%にそれぞれ上昇していた。
「高カロリー飲料の飲みすぎにより引き起こされる肥満や、関連の深い2型糖尿病などの病気の危険性を、遺伝子を調べて事前に知ることができるようになる可能性がある」とQi氏は話す。
市販されている高カロリーの清涼飲料の多くは、風味や飲みやすさで嗜好を刺激し、どれだけ飲んでも飲み足りないという点が共通しているという。そうした高カロリー食品への嗜好が強いことが事前に分かれば、砂糖の代わりに低カロリー甘味料を使用するなどして、肥満に対して有効な対策を施すことができるようになると指摘している。
この研究は医学誌「New England Journal of Medicine」に9月21日付けで発表された。
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