ニュース
2012年09月06日
もっとも効果的なダイエットはどれ?
- キーワード
- 食事療法

低脂肪ダイエット、低炭水化物ダイエット、低インスリンダイエット――。書店に行くと多数のダイエット関連本が山積みされており、さまざまな食事法が流行しているが、どれが本当に効果があるのかわかりにくい。専門家によると、確実に効果のある特効薬のようなダイエットはないが、共通するポイントを押さえるだけでも、最良のダイエットに近づけられるという。
ハーバード大学公衆衛生大学院のエリック リム教授(栄養疫学)は「減量ダイエットを解明する」と題した講演を行い、人気のあるダイエットについて、本当に効果があり科学的な根拠があるかを検証した。その結果、「たくさんのダイエットが流行し消えていくが、確実に減量効果のある特効薬のようなものはないという結論に落ち着いた」と述べている。
例えば、この数年に熱狂的な人気を得た低脂肪ダイエットについては「ほとんどの人にとって、減量効果があったとしても限定的なものでしかない。逆に健康的な食生活が脅かされるおそれがある」と指摘。「必要な脂肪の摂取ができなくなる危険性がある。極端な低脂肪ダイエットは有害だ」としている。
低脂肪ダイエットの低炭水化物ダイエットの両方について、数ヵ月続けた場合に適度な減量とインスリン感受性の改善が認められた研究も発表されている。しかし、無理のあるダイエットを続けるのは難しく、時間がたつと元の食事に戻ってしまい、体重も回復する傾向があるという。通常の食事を続けた女性と比べ体重の推移を調べたいくつかの比較対照試験は、1年が経過すると両群で体重は変わらないという結果になった。
流行しているダイエット法に共通してみられるのは、「簡単そうで、気軽に取り組めそうなものが多い。消費者の意欲をかきたてる狙いがある」という点だ。また、特定の食品(果物、野菜、全粒粉、ナッツ類など)の摂取を勧めていても、食事全体の必要栄養素の組成については、さほど重要視しない点も共通しているという。
「実際には完全な食事法というものはない。特定の偏った食事法のみにこだわらないほうが害は少ないだろう」とリム教授は言う。
リム教授が勧める確実な減量効果を期待できるダイエット法は次の通りだ――
- 生活に合ったやり方で食事を調整する
それぞれの社会や文化的な嗜好に合わせた食事法であると長続きしやすい。 - 専門家のアドバイスを得る
専門家のアドバイスを受けながら食事療法に取組むと、健康的な体重を維持しやすい。 - 食品をバランスよく選ぶ
野菜、果物、全粒粉、ナッツ類などの食品をバランスよくとりいれる。 - 未加工食品を選ぶ
未加工食品の多くは吸収が遅く、急な血糖上昇を抑えられる。加工食品よりも、未加工食品を組み合わせた方が、栄養バランスもよくなる。 - 良い脂肪と悪い脂肪がある
トランス脂肪酸や飽和脂肪酸を含む食品を控え、オリーブオイルやキャノーラ油といった不飽和脂肪酸を含む食品に交換するだけでも、脂肪のバランスはよくなる。加工食品を買うときは、栄養表示をよく見て、どんな脂肪が含まれるかチェックしよう。 - 魚を食べる
魚には体によいn−3系脂肪酸(オメガ-3脂肪酸)が多く含まれるので、できれば週に2サービング以上食べよう。 - アルコールを控える
適度なアルコール摂取が心臓病を予防したり長寿に役立つことを示した研究もあるが、多くの場合はアルコールの過度な摂取につながりやすい。1日の適度なアルコール飲料の量は、男性は2ドリンク、女性は1ドリンクまで。
The Best Diet? One You Can Follow(ハーバード大学 2012年8月13日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- アルコールの飲みすぎは危険 糖尿病・高血圧・肥満のある人は肝臓病リスクが2.4倍に上昇 飲酒により糖尿病リスクが上昇
- 【Web講演を公開】2月は「全国生活習慣病予防月間」
今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」