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2012年08月07日
青ジソの抗酸化効果で「老化、メタボ予防」 京大が発見
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呼吸によって体内に取り込まれた酸素の一部は、通常の状態でも不完全に還元され、活性酸素になる。活性酸素はさまざまな生理機能に関わっており、一部は細胞や生体組織などを傷害する作用をする。
生体内には活性酸素から守るための防御システムが備わっているが、そのシステムがうまく働かなくなることで酸化ストレスが起こる。酸化ストレスは老化やがん、メタボリックシンドローム、糖尿病合併症、動脈硬化、アルツハイマー病などの一因だと考えられている。
野菜や果物などに含まれるビタミンC・Eやポリフェノールなどには、活性酸素に直接反応し、除去する作用がある。食事でこれらの栄養素を十分に摂取することが、酸化ストレスから防御する有効な手段となる。ただし、これらの栄養素が含まれる野菜や果物を大量に食べるのはなかなか難しい。
酸化ストレスから体を守るもうひとつの方法は、体内で抗酸化作用のある酵素やタンパク質を増やすことだ。多くの抗酸化因子は、「Nrf2」と呼ばれる転写因子タンパク質によってコントロールされている。Nrf2を活性化すると、さまざまな抗酸化因子が増え、細胞や組織が酸化作用から保護されると考えられている。
久米准教授らは、6種類の果汁サンプル(桃、リンゴ、イチゴ、クランベリー、ラズベリー、温州みかん)と6種類の野菜サンプル(青ジソ、モロヘイヤ、春菊、セロリ、パセリ、赤ジソ)の成分を調べた。
その結果、青ジソの抽出物からNrf2の働きを活性化させる作用をもつ「DDC」と呼ばれるポリフェノールの一種がみつかった。DDCを化学合成してラットの細胞で調べたところ、抗酸化タンパク質を約70倍に増加させることが確かめられた。
DDCは、ビタミンCやベータカロテンなど酸化物に直接作用する抗酸化物質と違い、抗酸化酵素を誘導するように働き、効果が持続しやすいという。
実験によると、DDCは青ジソの葉100g(約230枚分)から10mgとれる。青ジソそのままでは1日あたり数kg食べなければ効果を得られないとみられる。そのため研究チームは今後、青ジソから効率よくDDCを抽出する方法をみつけ、予防薬や健康食品の開発につなげたいとしている。
青ジソから老化やメタボリックシンドローム予防に有望な生体内抗酸化力を高める成分を発見(京都大学 2012年8月6日)
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