ニュース

2012年08月06日

カレーの色素成分が糖尿病発症リスクを低下

キーワード
食事療法
 カレーに含まれる栄養成分が糖尿病の危険性を低下させる可能性があるという研究が発表された。カレーに含まれるクルクミンには減量と抗炎症作用があり、2型糖尿病の発症を抑えるという。

 クルクミンはカレーのスパイスであるウコン(ターメリック)やショウガに含まれている黄色い色素で、ポリフェノールの一種であるクルクミノイドに分類される。

 タイのシーナカリンウィロート大学の研究チームは、糖尿病リスクの高い糖尿病前症(prediabete)と判定された人に、クルクミンを毎日摂取してもらった。この研究は、米国糖尿病学会が発行する医学誌「Diabetes Care」に発表された。

 糖尿病前症は、血糖値が正常型よりも高いが、糖尿病と診断されるほどは高くない場合に判定される。いまは糖尿病ではなくとも、将来に糖尿病を発症する危険性の高い状態だ。

 対象となった240人の参加者に、健康的な食事や運動についての生活習慣指導を3ヵ月間受けてもらった。期間中、血糖降下薬などによる治療は行わなかった。参加者を無作為に2グループに分け、片方は250mgのクルクミノイドを含むカプセル製剤を1日6錠を服用してもらい、もう片方には偽薬(ブラセボ)を摂取してもらった。

 9ヵ月後にカプセルを毎日摂取した人では2型糖尿病の発症がみられなかったが、偽薬を摂取したグループでは16.4%が2型糖尿病を発症した。クルクミンによる重大な副作用は報告されなかったが、数人が軽いそう痒や便秘などの症状を訴えた。

 クルクミンがどのようなメカニズムで糖尿病の危険を減らすのかは解明されていないが、研究者はクルクミンの減量効果を指摘している。減量はインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性を低下すると推測している。インスリンは、ブドウ糖の細胞内への取り込み、エネルギー利用などを促進する。

 クルクミンには抗炎症作用もある。研究者は、「クルクミンが抗炎症作用により、ベータ細胞の損傷を保護した可能性がある。その結果、インスリンを放出するβ細胞の機能が改善した」と述べている。

 一方で「クルクミンのサプリメントの利用を勧めるものではない。市販されているサプリメントのクルクミン含有量は安定していないおそれがある」と注意を促している。「糖尿病前症の段階で、まず取り組むべきは食事と運動の改善だ」と述べている。

Curcumin Extract for Prevention of Type 2 Diabetes
Diabetes Care July 6, 2012, doi: 10.2337/dc12-0116

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲