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2012年07月23日
高カロリーのビックフードが糖尿病に悪影響
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- 食事療法
高カロリーで栄養価の低いファストフードに代表される「ビックフード」が、2型糖尿病などの生活習慣病を引き起こしていると、世界的に話題になっている。
伝統的な食生活を失われ糖尿病が増えた
世界中でハンバーガー、チーズバーガー、フライドポテト、ピザ、ポテトチップ、フライドチキン、クッキー、高カロリーの炭酸飲料などが大量に生産・消費されるようになった。研究者らは、高カロリーで栄養価の低い安価な食品をまとめて、伝統的な食生活と対比するために「ビックフード」と名付けている。
ビックフードは、炭水化物、砂糖、脂肪が多く含まれ、大量生産に向いている点が共通している。最近は先進国だけでなく、所得の低い途上国でも大量に消費されるようになっている。
ブラジルは農産物が豊富な地域が多く、伝統的なブラジルの食生活では、大豆、米、トウモロコシ、キャッサバなどのイモ類、豆類、根菜類、ココナッツ、豚肉、魚介類などが使われてきた。多様な食品を組み合わせることで、栄養バランスのよい食事となる。しかし、そうした伝統的な食習慣は現在では減少してきた。
代わりに台頭してきたビックフードの多くは高脂肪・高炭水化物だ。ブラジルでファストフードが普及しはじめたのは1970年代頃からで、それに合わせて肥満や高血圧、2型糖尿病なども増加した。
ビックフードの多くは手軽に購入でき、テーブルや椅子、食器などがない場所でも立ったまま食べることができる。家庭で食事をとる伝統的な食習慣は失われつつある。「ビックフードの大量の広告が毎日流されている。その影響を受け、ブラジル人の食品嗜好や消費行動は変わってきた」と研究者らは話す。
ブラジルではビックフードの浸透を止め、健康的な食習慣を定着させるための政策が進められている。例えば、ブラジルの公立学校に通う児童向けの給食を、材料の70%は生鮮食料品にするか、最低限の調理加工にとどめるよう定めたガイドラインが設けられた。また、30%以上の食品は地域の農業から調達することになっている。
ビックフードを週2回以上食べると糖尿病発症リスクが27%上昇
ビックフードを食べる習慣があると、2型糖尿病と冠性心疾患の危険性が上昇するとのショッキングな研究も発表された。米ミネソタ大学の研究者が、米国に在住している中国系シンガポール人を対象に調査したものだ。
ビックフードを摂取しない人に比べて週2回以上摂取する人では、糖尿病発症リスクが27%、冠性心疾患による死亡が56%上昇するという結果になった。この研究は、米国心臓学会(AHA)が発行する医学誌「Circulation」に発表された。
「食の欧米化が進み、ファストフードの消費が世界的に拡大し、2型糖尿病などの生活習慣病の増加につながっている。これは公衆衛生上の観点からは望ましいことではない」とミネソタ大学公衆衛生学部のAndrew O. Odegaard氏は話す。
Odegaard氏らは、45〜74歳の中国系シンガポール人を対象に調査を行った。1993〜98年に6万3,257人を対象に食生活、身長、体重、喫煙習慣、運動習慣、既往歴などについて個別面接を行い、1999〜2004年に5万2,322人を対象に電話による追跡調査を実施した。
糖尿病については、個別面接時に医師の診断について尋ね、追跡調査でも「医師から糖尿病(高血糖)の診断を受けたことがあるか」と再度尋ねた。「はい」と回答した者については診断時の年齢を聞き、追跡調査時までに糖尿病と診断された対象者を糖尿病の発症例とした。
ファストフードを利用する頻度による糖尿病発症の比率は、「1〜3回/月」で1.02倍、「1回/週」で1.17倍、「2回以上/週」で1.27倍となり、摂取頻度が増えると糖尿病の発症が増えることがわかった。
「米国に移住したシンガポール人の食生活は16年の期間で、伝統的な食事スタイルから西洋式のファストフードに変化していた。伝統的な食生活が崩壊し、生活習慣病が引き起こされる可能性について、十分な科学的な検証が必要とされている」とOdegaard氏は述べている。
Brazil has laws that protect against “Big Food” and “Big Snack”Fast food intake increases risk of diabetes and heart disease in Singapore(ミネソタ大学 2012年7月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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