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2012年07月12日
野菜から食べはじめると血糖変動を抑制できる
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- 食事療法

研究チームは、日本人の2型糖尿病患者19人と健康な被験者21人を2群(A群とB群)に無作為に振り分け、炭水化物の前に野菜を食べることによる食後の血糖変動への影響を、持続血糖測定システム(CGMS)を用いて解析を行った。
CGMSは、細いセンサーを皮下に刺し、細胞間液の糖分濃度をセンサー間に流れる電流の大きさに置き換えることで、血液中の糖の濃度(血糖値)を1日288回測定する機器。
計測は、4日間(72時間)かけて行い、試験食はそのうちの2日目と3日目に実施した。A群には2日目に野菜を食べた後に炭水化物を食べてもらい、3日目に炭水化物を食べた後に野菜を食べてもらった。B群は2日目と3日目をA群の順序と逆にした。
野菜を先に食べる場合は、野菜を5分かけて食べた後、肉や魚などの主菜を食べ始め、野菜を食べ始めてから10分ほど経った時点でご飯などの炭水化物を食べるという条件で行った。
その結果、ご飯などから食べ始めた患者は、食後2時間経過しても、血糖値の平均が195mg/dLと高いのに対し、野菜から食べ始めると160mg/dLに下がり、変動幅が小さくなった。健康な人も野菜から食べ始めた方が、血糖値の変動幅が抑えられた。
今回の発表は、大阪府立大学の今井佐恵子教授(臨床栄養学)が京都市内の生活習慣病専門クリニックと共同で行った研究の成果。
「食生活を変更・制限するのが困難と感じている糖尿病患者は多い。今回の発見により、『野菜を先に食べる』という簡単な食事指導で、糖尿病などの予防・改善が可能となることがわかった。食後高血糖と血糖変動を抑える簡単な食事指導が期待されている」と今井教授らは述べている。
「最初に野菜」の食習慣で1日の血糖値の変動を抑制(大阪府立大学 2012年7月10日)
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