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2011年09月29日
低血糖は脳にとっても良くない 食欲を抑える脳の働きが低下
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- 食事療法

血糖値が正常の範囲を超えて急に低くなり、ブドウ糖が不足した状態を低血糖という。血糖値が下がりすぎると血糖を上げようとするホルモンが活発になり、ふるえや動悸などの症状が起こる。ブドウ糖は蛋白質や脂肪よりも早く吸収されるため、低血糖が起こったときに血糖値を上げるのに適している。
脳がエネルギー源として利用できるのもブドウ糖だけ。ブドウ糖は脳にも多大な影響を及ぼしている。
研究チームは、標準体重の人9人と肥満の人5人に実験に参加してもらった。血中のインスリン濃度を調整し、危険でない程度に血糖値を低下された。
磁気共鳴画像装置を用いて、野菜や果物といった健康的とされる食品と、ケーキやアイスクリームなど高カロリー・高脂肪の食品の画像を見たときに、それぞれ脳のどの部位が活性化するかを調べた。同時に被験者に、どのような食品を食べたくなるかを答えてもらった。
血糖値が低下すると、被験者は高カロリーの食品を求める傾向がみられた。肥満のある人では特に、食欲の衝動を抑えられなくなっていた。
ヒトの脳で食欲をコントロールしているのは、強い欲求を抑制する「前頭前皮質」とよばれる部位であることが分かっている。低血糖になり血中のブドウ糖が不足すると、脳の前頭前皮質が活性化されなくなることが確かめられた。
健康な人においても、血糖が低下すると食事にかりたてられることが多い。そうしたときに、脳内で何が起こり食欲の衝動につながっているか、メカニズムはよく分かっていない。
これまでの研究で、ジャンクフードは快感をコントロールする神経伝達物質であるドーパミン受容体に信号を送り、ジャンクフードを欲するよう行動を変えるという、中毒性のある薬物に似た作用を脳に及ぼす可能性があることが分かっていた。
研究者は、血糖による脳の働きの違いを解明するために「より多くの研究が必要」としながらも、「健康的な食事を続け、血糖値を安定させておくことは、脳の健康にとっても良い」と結んでいる。
専門家らによると、食べすぎを防ぐための対策は、朝食、昼食、夕食を規則正しくとり、3食を等間隔にあけ、長時間食事をとらずに空腹でいる時間を少なくし、1回の食事ではゆっくりよくかんで食べることだという。朝食を抜き、昼食までの時間に空腹に耐えていると、健康的でない高カロリーのジャンクフードに対しても食欲を感じてしまうおそれがある。
この研究は、米国立衛生研究所(NIH)により資金提供を受け行われた。
Starving the Body Impacts Brain’s Ability to Resist Unhealthy Foods(南カリフォルニア大学 2011年9月16日)
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