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2011年07月28日
糖尿病の適切な治療を受けていない子供が2万人 英国調査
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- 1型糖尿病
イングランドとウェールズの小児・若年糖尿病患者の85%以上は、十分な血糖コントロールを得られていないと、英国糖尿病協会(Diabetes UK)が発表した。このまま適切な治療を行わないでいると、約2万人の患者が将来に深刻な糖尿病合併症を発症する危険性が高いことが、このほど英国で行われた小児糖尿病に関する過去最大の調査であきらかになった。
この深刻な問題に取り組むために、英国糖尿病協会(Diabetes UK)は、糖尿病の治療と管理を改善するための調査への参加を呼びかけている。糖尿病の障害を克服し自己管理を促進するためのアプリケーションを開発したが、8つの基礎的なチェックをすべて知っていたのはわずか4%だった。 国営の医療保障サービスであるNHSの糖尿病小児監査局は、血糖コントロールが良好でない小児・若年糖尿病患者がもっとも多い年齢層は12〜24歳であることをあきらかにした。この年齢層で年間に受けた、血糖、下肢、目の検査などを含む8つの基本的な項目を知っている割合は4%だった。報告書「英国糖尿病小児監査局レポート 2009〜2010」の全文はNHS情報センターのサイトからダウンロードできる。 小児・若年糖尿病について主な調査結果は次の通り――
- 患者の94.3%は2型糖尿病で、1型糖尿病は1.5%。
- 患者の52%が男性、48%が女性。
- 9.0%は2009〜2010年に糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)を少なくとも1回経験しており、女性でより頻繁に起こっておいる。再発率は医療機関によって差がある。
- 89.3%はHbA1c検査の記録をもっているが、12歳以上の小児患者のうちNICE診療ガイドライン検査の全てを知っているのは4.1%だった。ガイドライン検査とはHbA1c値、体格指数(BMI)、血圧値、尿中アルブミン、血中クレアチニン、コレステロール、目のスクリーニング検査、足のチェック。
- NICE診療ガイドラインではHbA1c7.5%未満を目標にしているが、30%は9.5%以上で将来に合併症を発症するリスクが高い。
Targeted research Call for research proposals(Diabetes UK)
National Diabetes Paediatric Audit Report 2009-2010(英NHS情報センター)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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