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2011年02月01日

アジア人は肥満でなくとも2型糖尿病になりやすい 23万人を調査

 アジア人は欧米人に比べ、痩せている人でも2型糖尿病を発症する危険性が高くなることが、アジア系米国人約1万1千人を含む約23万人を対象とした調査であきらかになった。アジア系では白人に比べ、2型糖尿病の発症率が30〜50%高いという。

 研究は米ジョンズ・ホプキンズ大学のJi Won R. Lee氏らの研究チームによるもので、米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」2月号に発表された。

 研究チームは1997年から2008年の米国民健康調査(NHIS)の結果を解析した。対象となったのは18歳以上の米国人23万503人で、アジア系米国人が1万1056人含まれていた。

アジア人は少しの肥満や運動不足で糖尿病を発症
 糖尿病患者の割合は、白人では約4%から6%に増えたのに対し、アジア系では4%から8%に増え、アジア系の方が糖尿病の割合が高かった。一方、肥満の割合は、アジア系17%に対し白人は25%で、アジア系では低かった。

 ロジスティック回帰分析で得られた結果は、アジア系米国人は白人に比べ30%〜50%、糖尿病になりやすいということだった。インドや中国、日本などアジアの各国で2型糖尿病の増加は深刻な問題になっている。

 日本人を含むアジア系は、白人に比べ、肥満でなくとも糖尿病や動脈硬化が起こりやすいことが知られている。人類の歴史では飢餓状態の時期が長く続いた。食料が少ないときも限られたエネルギーを有効に使うために、アジア系では多くの人が「倹約遺伝子」をもっていると考えられている。

 飢餓時代を生きのびるための体の仕組みが、飽食の現代では仇となる。倹約遺伝子のある人では、少しのエネルギー過多や運動不足でも、内臓脂肪が蓄積しやすい。内臓脂肪からは体の代謝機能に影響するさまざまなホルモンが分泌されるため、2型糖尿病や動脈硬化の進行が加速しする。つまり、豊かな生活をおくる現代の日本人の多くで、少しの食べすぎ・運動不足が糖尿病につながりやすい。

 「アジアで糖尿病の危険性が拡大している。しかし、多くの人々がそのことに気づいていない」と論文著者のひとりであるHsin-Chieh Yeh博士は指摘する。「2型糖尿病の発症には遺伝的な要因もからんでいるが、不健康な生活習慣との組合わせが発症の引き金となる」としている。

 研究では実際に、アジア系では白人やアフリカ系に比べ体重が少ないが、腹部脂肪の割合が高いことが確かめられた。一方で、アジア系の人では、運動不足の傾向があることも分かった。

 「体重や内臓脂肪は、1日に運動する時間を少しでも増やすことで、減らすことができる。健康的な食事とエネルギー摂取に関心をもち、運動を習慣的に行うことで、糖尿病の危険性は低下する」とYeh氏は述べている。

 「中高年以上の人は、定期的に検査を受け医師にチェックしてもらい、早期に対策することも重要だ。糖尿病と診断されなくとも血糖値が高めであれば、“前糖尿病(pre-diabetes)”という段階にあり、危険性が高いことを示している」としている。

Trends in the Prevalence of Type 2 Diabetes in Asians Versus Whites
Results from the United States National Health Interview Survey, 1997-2008

Diabetes Care, February 2011 vol. 34 no. 2 353-357

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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