資料室

facebook
メールマガジン
糖尿病3分間ラーニング
CGM一体型インスリンポンプが血糖コントロールを改善
2010年08月02日

 1型糖尿病糖尿病の治療は進歩している。米国で新たな医療技術として、血糖センサー付きインスリンポンプの開発が進められている。
HbA1c値がインスリン頻回注射に比べ有意に改善
米国糖尿病学会(ADA)年次集会で発表
 良好な血糖コントロールを得られない成人と小児の1型糖尿病患者が、血糖値の変動を連続的に測定する「連続血糖測定(CGM)」を一体化したインスリンポンプを使用すると、1日複数回のインスリン注射による治療と比較し良好なHbA1c値を得られるとの研究論文が、「New England Journal of Medicine」7月22日号に掲載された。この研究は、6月25〜29日に米フロリダ州オーランドで開催された米国糖尿病学会(ADA)年次集会に合わせて発表された。

 米パーク・ニコレット国際糖尿病センター(ミネアポリス)のRichard M. Bergenstal氏らは、1型糖尿病患者485人(成人329人、小児156人)をランダム(無作為)化し、CGM一体型インスリンポンプを用いた療法(ポンプ療法群)、あるいは連日の複数回のインスリン注射のよる療法を受ける群(注射療法群)に割り付けた。

 その結果、ポンプ療法群では1年後の平均HbA1c値が8.3%から7.5%まで低下し、注射療法群で8.3%から8.1%まで低下したのに比べ、ポンプ療法群では有意に血糖コントロールが改善した。また、血糖コントロールの目標値であるHbA1c7%未満に達した患者の割合は、ポンプ療法群の方が多かった。重度の低血糖の発現率については、有意な群間差は認められなかった。

 ADAの治療ガイドラインでは、HbA1c値7.0%以下を維持することを推奨している。研究では、HbA1c値は、注射療法群で0.2%改善したのに対し、ポンプ療法群では0.8%改善した。論文著者らは「血糖コントロールが良好でない成人と小児の1型糖尿病患者で、CGM一体型インスリンポンプを用いた治療により、頻回注射による療法に比べHbA1c値が著しく改善した。糖尿病性ケトアシドーシスの発現率は無視できる程度だった。血糖コントロール目標に達した割合もポンプ療法群で多かった」と述べている。

インスリンポンプとCGMを組み合わせた「人工膵臓」
MiniMed Paradigm REAL-Time System

米メドトロニック社ホームページ
 研究に用いられたCGM一体型インスリンポンプは、米メドトロニック社が開発した「MiniMed Paradigm REAL-Time System」。インスリン製剤を持続的に注入する「インスリンポンプ」と、血糖値の変動を連続的に測定する「連続血糖測定(CGM)」を組み合わせた画期的な技術を用いている。

 本体は携帯ポケットベルほどの大きさで、皮下に挿入された細いチューブから、コンピュータにより高度にプログラムされたアルゴリズムにより、微量のインスリンを持続的に自動注入する。一方、血糖センサーは、5分ごとに血糖値を測定し、高血糖や低血糖を知らせるアラーム機能がついている。ポンプではインスリンの注入量を制御できないので、調整を患者が行う必要がある。

 「この技術を組み合わせることで、低血糖の発現率を抑えながらHbA1c値を低下させることができることを示す強力なエビデンスを得られた意義は大きい。良好な血糖コントロールにより糖尿病合併症のリスクを軽減できる。小児と成人の1型糖尿病患者の治療において大きな進歩になる」とBergenstal氏は述べている。

 6月に米オーランドで開催されたADA年次集会では、インスリンポンプとCGMを組み合わせた「人工膵臓システム(Artificial Pancreas System)」に関するシンポジウムが、国際若年性糖尿病研究財団(JDRF)により開催された。米国で人工膵臓システムの開発は進歩しており、数年内に実用化される可能性があると注目されている。

 人工膵臓システムの開発は「1型糖尿病治療における革命的な進歩」と研究者らは強調している。「低血糖の危険を起こさずに夜間の血糖コントロールを改善できる。生活のいかなる状況においても利点を得られる。運動をしたり、食事で食べすぎたり、白ワインを1杯飲んだときでも」。

subscription or payment may be required:
Effectiveness of Sensor-Augmented Insulin-Pump Therapy in Type 1 Diabetes
New England Journal of Medicine, 2010; 363: 311-320 July 22, 2010
Editorial: Continuous Glucose Monitoring - Coming of Age

関連情報

Artificial Pancreas Improves Overnight Glucose Control for Range of Real-Life Situations, Latest Data Show(米国糖尿病学会、2010年6月27日)
STAR 3 Trial Results Confirm Medtronic's Sensor-Augmented Insulin Pump Therapy Achieves Better Glucose Control Than Daily Insulin Injections in People with Diabetes(米メドトロニック社、2010年6月29日)
[ Terahata ]
カテゴリー :1型糖尿病  2010年  インスリンポンプ/CGM  

■最新ニュース

ニュース一覧へ ▶

更新情報配信中!