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2010年05月17日

歯周病を治療すると血糖コントロールも改善する

キーワード
糖尿病合併症
 中高年の8割がかかっているという歯周病は「世界一感染者の多い病気」ともいわれる。歯周病は口臭や歯が抜ける原因になるだけでなく、糖尿病など全身の病気にも関係している。糖尿病のある人が歯周病の治療を行うと、血糖コントロールも改善するという研究が発表された。

 歯周病はかなり進行するまで、痛みなどの自覚症状が出にくい病気だ。最近の研究で、歯周病は口腔内の問題だけでなく、全身の他の病気やトラブルを起こすことが分かってきた。

 特に糖尿病がある人では、歯周病が糖尿病を悪くするだけでなく、糖尿病があることで歯周病になりやすいという側面があり、悪循環の関係にある。そのため、両方の治療を同時に行うことが大切だという。

歯周病を治療することで糖尿病も改善
歯周病の症状は?
 歯周病は、自覚症状がほとんど現われずに進行する病気。
 痛みを感じていなくても、下のチェックリストに1つでも当てはまったら、歯周病になっていないか歯科で検査してもらことが大切。

□ 口の中がネバネバする
□ 歯を磨くときに血がにじむことがある
□ 歯ぐきが赤く腫れている
□ 口臭が気になる
□ 硬いものがかみにくい
□ 以前よりも歯が伸びたような気がする
□ 歯と歯の間にすき間ができ、食べ物が挟まりやすくなった
□ 歯ぐきが白っぽくブヨブヨしたり、歯がグラグラする
 この研究は、英国のエジンバラ大学、ペニンシュラ医科歯科大学、UCLイーストマン歯科研究所の研究者らによるもので、医学誌「Cochrane Library」5月号に発表された。

 研究チームは、歯周病と診断された1型糖尿病と2型糖尿病の患者を対象に無作為化し調査した対照臨床試験を解析した。検証対象には9の臨床試験を含む690の論文が含まれていた。その結果、2型糖尿病患者では、歯周病の治療と糖尿病患者の血糖コントロールには関連があることがあきらかになった。

 歯周病は、歯や歯ぐきに付着した細菌が原因となり起こる。この細菌が集まってできるのがプラーク(歯垢)で、プラークの出す毒素によって炎症が引き起こされる。この炎症によりインスリンの働きが低下し、糖尿病患者では血糖コントロールが困難になると考えられている。

 糖尿病と歯周病の関連について、まだあきらかになっていないことも多いが、特に2型糖尿病患者では、歯周病を治療することで、より良好な治療成果を得られることが示唆された。

 論文の主著者であるエジンバラ大学のTerry Simpson氏は「より良い血糖コントロールにより、網膜症や心臓病などの合併症を予防できる。口腔内の健康管理は、糖尿病の治療の一部とみることができる」と話す。

 ペニンシュラ医科歯科大学のDavid Moles教授(口腔衛生学)は「歯科医による口腔ケアと糖尿病医との連携により、糖尿病の治療をより改善できる可能性がある。さらに多くの調査が必要だ」と述べている。

Treatment of Gum Disease May Lower Blood Sugar Levels in Type 2 Diabetes(ペニンシュラ医科歯科大学リリース)
Treatment of periodontal disease for glycaemic control in people with diabetes(Cochrane Library)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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