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2010年03月18日

「社会的支え」の多い男性でメタボや肥満が増える 欧米と逆の結果

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食事療法
 「社会的な支えの多い男性では、そうでない男性に比べ、メタボリックシンドロームや肥満の割合が高い傾向がある」―。こんな研究結果を厚生労働省研究班「多目的コホート研究(JPHC)」が発表した。
 欧米での研究の多くは、社会的な支えが低いとメタボリックシンドロームやその構成因子の頻度を上昇させることを示しており、今回の日本人を対象とした調査と逆の結果がでている。
宴会や飲み会は「日本特有」の文化
飲酒や脂肪摂取がメタボや肥満につながるおそれ
 この研究は1993年に茨城、新潟、高知、長崎、沖縄の5保健所管内に在住していた40歳から69歳の男女約4万4000人のうち1万2537人のデータを分析したもの。循環器疾患やがんの既往がなく、社会的な支え(ソーシャルサポート)についての質問に答えた人を対象にした。メタボリックシンドロームの有無は、米国(AHA/NHLBI)および国際糖尿病連合(IDF)の診断基準を用いて判定した。

 追跡開始時にアンケートで、「心が落ち着き安心できる人の有無」「週1回以上話す友人の人数」「行動や考えに賛成して支持してくれる人の有無」「秘密を打ち明けることのできる人の有無」について質問し、回答の合計点数により、社会的な支えが「とても多い」から「少ない」まで4グループに分け比較した。

 その結果、社会的な支えの少ない男性は、社会的支えの多い男性に比べてメタボリックシンドロームの有病率が0.75倍(95%信頼区間:0.58-0.97)と低いことが分かった。女性では差が認められなかった。

 肥満については、男女ともに社会的支えの多い人で肥満の割合が高くなり、社会的な支えの少ない男性では特に割合が低くなった。社会的支えが増えるにつれ、多量飲酒や付き合いで飲酒する割合、脂肪摂取量が多くなる傾向がみられた。


厚生労働省研究班 多目的コホート研究(JPHCスタディー)
社会的支えが健康行動やストレスに影響
 今回の研究結果が、欧米の調査と正反対となったことについて、研究班は「社会的支えの多い男性は、宴会や飲み会などの影響で飲酒や脂肪摂取の機会が多いからではないか」と分析。宴会や飲み会を「日本文化特有の現象」として、特に中年期男性において社交の機会となり、社会的な支えとなっている可能性があると指摘している。「ストレスの発散の場になる一方で、お酒や脂肪のとりすぎにつながる。肥満、メタボリックシンドロームに気をつける必要がある」と述べている。

 欧米での同様の研究では、社会的支えが低いとメタボリックシンドロームやその構成因子の頻度が上昇するとの報告がある。その理由は「社会的な支えが少ないと、話し相手が少ないため、不安や悩みを誰にも打ち明けられずに1人で問題を抱えてしまい、そのことが健康行動やストレスなどを介して循環器疾患、メタボリックシンドロームおよびその構成因子などの出現に影響するから」と考えられている。日本人を対象とした研究でも、社会的な支えが少ない人では、心筋梗塞の発症や死亡リスク、脳卒中の死亡リスクが高い傾向があるという報告がある。

多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究(JPHC Study)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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