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2010年03月03日
テレビの見すぎは寿命を縮める 座ったまま過ごす時間を減らそう
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テレビ視聴時間が増えると死亡リスクが増加
対象者をテレビの視聴時間により、「1日2時間未満」「2〜4時間」「4時間以上」の3グループに分けた。その結果、1日の視聴時間が1時間増えるごとに、全死因による死亡リスクが11%増加することが分かった。死亡率の高い心血管疾患(CVD)によるリスクは18%、がんによるリスクは9%増加していた。
さらに、1日のテレビ視聴時間が2時間未満の人に比べ、4時間を超える人では、すべての死因による死亡のリスクが46%も高くなった。関連する死亡リスクを心血管疾患に限ると80%高くなった。
喫煙、高血圧、高コレステロール、不健康な食事、ウエスト周囲径、余暇時間、運動習慣などの心血管疾患に共通する独立した危険因子を考慮しても、テレビの視聴時間と心血管疾患との間に直接的な関連があることがあきらかになった。
「こうした傾向は太りすぎや肥満の人だけに当てはまるものではない。標準体重の人であっても、1日に座りきりの時間が長い生活を続けていると、血糖や血中脂質に不健康な影響が出てくる」とDunstan氏は述べている。
「座ったまま過ごす時間を減らして、立ったまま体を動かす時間を増やすことが大切だ。文明が進歩し社会や経済が変化した結果、体を動かし筋肉を使う機会が急速に失われた」とDunstan氏は話す。「このこと体を動かす程度で決まるエネルギー消費量がどんどん減ることを意味している。多くの人にとって1日の基本的な運動は、イスから別のイスまで移動するだけにとどまっている。自動車のイスからオフィスのイスへ、それからテレビの前のイスへといった具合に」。
2型糖尿病の治療や予防の面からも、適度な運動は必要となる。体を動かさないでいると、筋肉が減少し脂肪の多い「かくれ肥満」になりやすい。そうなると基礎代謝が低下してしまう。身長・体重が同じであっても、かくれ肥満の人では同じ分量の食事をとっても使うエネルギー量が少ないので、高血糖や脂質異常が起こりやすくな
米国心臓学会は2009年に、心血管疾患を予防する観点から、2型糖尿病患者の運動についての科学的ステートメントを発表した。心臓血管のリスクを減らすために、2型糖尿病の人は、週に適度な運動を少なくとも2.5時間行うか、活発な有酸素運動を1.5時間行うことを奨励している。
からだがきついと感じるほどの運動は必要ないが、筋肉の量を減らさないために、適度な負荷をかけて行う筋力を中心とした「筋力トレーニング」もとりいれるとより効果的だ。
運動を始める前に、主治医に相談をして安全で最適な運動療法を処方してもらことや、健康運動指導士をはじめとする専門家に相談することにより、より効果的な運動ができるようになる。
Sedentary TV time may cut life short(米国心臓学会)
Diabetes patients should have regular exercise, weight training(米国心臓学会)
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