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2010年02月18日

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インクレチン関連薬 医療の進歩

国内初のGLP-1アナログ製剤「ビクトーザ」 高いHbA1cの目標達成率

 2010年1月20日、国内初のGLP-1受容体作動薬「ビクトーザ」が承認された。2月16日にノボ ノルディスクファーマが主催し、大手町サンケイプラザ(千代田区)で糖尿病プレスセミナー「国内初のGLP-1受容体作動薬 ビクトーザ承認取得−2型糖尿病治療のパラダイムシフト」(演者:門脇 孝・東京大学大学院医学系研究科 糖尿病・代謝内科 教授)が開催された。
治療強化が必ずしも改善につながっていない
 糖尿病治療の目標は、血糖、体重、血圧、脂質を良好にコントロールし、合併症の発症を抑制し、健康な人と変わらない日常生活の質(QOL)を維持し、寿命を確保すること。しかし現状では、インスリン療法へ移行するにつれ平均HbA1c値が上昇する傾向があり、治療強化は必ずしも血糖コントロール改善につながっていない。

 血糖コントロールの指標と評価として、HbA1c値6.5%未満、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満が「良」とされているが、達成率は35%程度だという。門脇氏は「現状では十分にコントロールされているとはいえない」と話す。

診断後早期から積極的な治療介入が求められる
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 UKPDS試験後10年間の追跡調査で観察された「UKPDS 80」で、早期の積極的な治療が合併症抑制につながる「Legacy Effect(遺産効果)」が示された。UKPDS、ACCORD、ADVANCE、VADTなど、5つの大規模試験のメタ解析でも、厳格なコントロールによる心血管イベントリスクの減少が示された。

 門脇氏は「心疾患疾患を抑制するために、診断後早期から積極的な治療介入を行うべきだ」と強調する。そして、強化療法群による死亡率増加のために中止されたACCORD試験に対して、「厳格な血糖コントロールは死亡を減少させるが、一方で低血糖は死亡率を増加させている可能性が高い」と指摘。「低血糖リスクを最小限にしつつ血糖コントロールを良好にすることが重要」と述べた

 また、「経年的な膵β細胞機能の低下を抑制できないことなどが、経年的な血糖上昇につながっている」として、今後の糖尿病治療の戦略として「生活習慣介入と自己管理をベースにした治療」「肥満を起こさない血糖コントロール」「血糖・血圧・脂質管理を進める総合的治療」などを挙げた。

国内初のヒトGLP-1アナログ製剤「ビクトーザ」
ビクトーザ皮下注に期待される特徴:
  • 食後血糖を含めた血糖降下作用に優れる
  • HbA1cの目標(6.5%未満)達成度が高い
  • 体重増加がない
  • ビクトーザ単独では低血糖を起こしにくい
  • 膵β細胞保護により、糖尿病の進行を阻止する可能性がある
  •  2010年1月20日に承認された「ビクトーザ(一般名:リラグルチド)」は、1日1回皮下投与のヒトGLP-1アナログ製剤。ヒトの体内にあるGLP-1のアミノ酸の一部を置換し、脂肪酸を付加することで、血中酵素(DPP-4)により分解されないようにした。

     GLP-1は消化管ホルモンであるインクレチンの1つであり、栄養素が消化吸収されると消化管から分泌され、膵β細胞のGLP-1受容体に結合し、インスリン分泌を促進する働きをもつ。

     GLP-1はグルコース濃度に依存して分泌されるため、単独で低血糖を起こしにくい。また、▽膵β細胞の分化・増殖促進、▽膵β細胞のアポトーシスの抑制、▽血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制、▽摂取した食物排出を遅らせる、▽食欲抑制といった作用がある。

     門脇氏は、ビクトーザ投与後の血糖降下作用を報告し、SU薬単独の治療などに比べHbA1cの目標達成率が高いことを示した。ビクトーザのSU薬の追加療法では、24週でHbA1c6.5%未満を達成した比率は、SU薬が4.5%だったのに対しビクトーザは47.1%だった。

     一方で、低血糖の発現頻度については、国内52週の第3相臨床試験では、「介助を必要とする重大な低血糖は報告されなかった」という。

     さらに、血糖降下作用に伴う体重増加が少なく、あるいは肥満では体重が減少し、内臓脂肪も減らす可能性があると報告した。欧米人に比べインスリン分泌の少ない日本人は、軽度の肥満が伴うことで2型糖尿病を発症するが、ビクトーザは日本人特有の病態に適しているという。

    膵β細胞保護による糖尿病の進行抑制が視野に入ってきた
     UKPDS試験では、2型糖尿病患者の膵β細胞の機能は、診断時点ですでに健康な人の半分に低下していることが示された。治療を行っても膵β細胞の機能低下を阻止することは困難で、インスリン抵抗性とインスリンレベル低下が重なり、罹病期間が長くなるとインスリン治療が必要となる患者が多くなる。GLP-1アナログ製剤は、動物実験では膵β細胞の機能改善が報告されていることから、門脇氏は「膵β細胞の保護作用により、糖尿病の進行を阻止する可能性がある」と述べた。

     主な副作用として投与開始初期の消化器症状があるが、用量を漸増していくことで軽減することも紹介した。長期的な安全性としては、動物実験で甲状腺腫瘍の発現がみられているが、ヒトを対象とした臨床データでは報告されていないという。また、膵炎については有意差を示すデータはいまのところ報告されていない。

     ビクトーザはGLP-1受容体作動という明確な作用機序をもつ製剤であることが高く評価されるが、長期安全性については今後も検討していく必要があるという。

    [ Terahata ]

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