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2010年02月19日
「メタボ健診」は有効 腹囲径に科学的な裏付け
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- メタボリックシンドローム
厚生労働省生活習慣病対策室は2月16日、読売新聞の「メタボ腹囲根拠なし」との報道(2月9日夕刊)に対し、厚生労働省研究班より「研究内容と研究者の見解を、適切に表現・報道したものとは認められない」との抗議が出されたことを、特定健康診査・保健指導関係団体に向けて通知した。
「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」(研究代表者:門脇孝 東京大学医学部教授)は、全国の12の大規模コホートから構成されており、特定健診の対象となる40歳〜74歳の男性約1万7,000人、女性約1万9,000人の計約3万6,000人を対象に行われた。 厚労省研究班は、ウエスト周囲径と心血管疾患のリスクファクターの重積を横断的に調べ(横断的研究)、心血管イベント発症との関連を縦断的に調査した(縦断的研究)。現在行われている特定健診での保健指導対象者の選定と階層化の方法を基準にした場合に、保健指導レベル別にみた心血管イベント発症の予測の精度がどれだけ高くなるかを、縦断的研究で解析し検討し
- ウエスト周囲径が増加すると、心血管疾患の危険要因があきらかに増えていくことが、統計的に示された。絶対的リスクの検討では、ウエスト周囲径で区切ると、男性で80〜85cm、女性で85〜90cmを超えると、高血糖や高血圧、脂質異常といったリスクファクターの数が1を超えることが分かった。
- どの値でリスクが相対的に高くなるかを検討したところ、男性85cm前後、女性80cm前後がカットオフ値になることが示された。その場合の統計学的な比率(オッズ比)をみたところ、メタボリックシンドロームは男性で3.14倍に、女性で2.83倍になった。
- ウエスト周囲径が増加すると、絶対的リスクでみると、心血管イベントの発症率が上昇することがあきらかになった。相対的リスクでみると、ウエスト周囲径が70cm未満の人と比較して、90cm以上の人では、男女ともに虚血性心疾患の発症ハザード比は2以上になり、心疾患のリスクが高くなることが示された。
- 現在行われている特定健診での保健指導対象者の選定と階層化の方法は、ウエスト周囲径の基準値を男性85cm以上、女性90cm以上としている。この基準値は心血管の発症リスクが高い人を抽出する方法として有効であることが科学的に裏付けられた。
厚生労働科学研究費補助金による研究事業「保健指導への活用を前提としたメタボリック・シンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」では、下記のポイントが強調されている。
保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究
「保健指導への活用を前提としたメタボリックシンドロームの診断・管理のエビデンス創出のための横断・縦断研究」の研究成果と研究者の見解に関するポイント
- 本研究においては、男性は腹囲 85cm 以上、女性は腹囲80cm 以上で高血圧・高血糖等を有する者の割合が特に増えることが分かった。
- 加えて、腹囲が大きくなるにつれて、心筋梗塞等の疾患にかかるリスクも高くなることが分かった。(腹囲が70cm、85cm、100cm と大きくなるにつれて、心筋梗塞にかかる可能性も上がっていく。)
- この結果は、腹囲基準が、心筋梗塞等にかかりやすい者を選び出すのに有効であることを裏付けるものである。
- また、本研究により、腹囲の基準値を男性85cm 以上、女性90cm 以上とする現行の特定健診における保健指導対象者の選定と階層化の方法は、心筋梗塞等の発症のリスクが高い者の抽出に有効であることも裏付けられた。
- なお、特定健診・保健指導における腹囲の基準値の設定に関しては、科学的根拠に加え、費用対効果等も勘案しながら、予防医学的見地から検討・決定すべきものであると考える。(腹囲基準を小さくとると、保健指導対象者がより多くなるため、保健指導を実施する者が多く必要になり、腹囲基準を大きくとると、保健指導を実施する者は少なくてすむが、対象者が限定的となる。)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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