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2010年01月12日
運動の血糖を下げる効果 風邪やインフルエンザの予防にも有用
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- 運動療法
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米アパラチアン州立大学人間行動研究所のデビッド・ニーマン教授が行ったいくつかの無作為化比較試験によると、45分のウォーキングを週5回、12〜15週間行った人では、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりにくいことが示された。運動をしている人では、しなかった人に比べ罹病日数が25〜50%少なく、病気による欠勤も半分になった。
運動をすることで免疫に関わる働きをする細胞が活発に血液に流れ込み、ウイルスや細菌を撃退する。この免疫システムは数時間を経ると通常の状態に戻るが、運動を繰り返し行うことで効果が長続きし、病気の発症を減少させるという。
「発症を減らすために、軽めの運動を習慣的に行うことが、どんな薬やサプリメントの服用よりも効果がある」とニーマン教授は話す。慢性疾患の障害の多くは、細胞や血管など体の組織が長い間に損傷を受けることで深刻化する。さまざまな研究によって、習慣的な運動は高血糖の改善や血圧の低下、悪玉コレステロールの減少などの効果があることが確かめられている。
注意しなければならないのは、患者よっては運動を突然に始めると心臓発作を引きこす危険があり、糖尿病患者では運動がかえって糖尿病のさまざまな合併症を悪化させるおそれもあること。
この点についてニーマン教授は「主治医にあらかじめ危険性を診断してもらった上で、適切な運動プログラムを提案してもらうことが大切だが、ほとんどの人ではウォーキングなどの運動を続けることで、有益な効果を得ることを期待できる。まずは軽い運動から始めるといいだろう」と述べている。
運動はどの年齢から始めても効果があるが、体力や持久力、柔軟性が衰えはじめる40代以上の人にとっては特に重要だという。
- 運動のために1日30分の時間をとれない
時間がなければ、まずは1日10分の運動から始めてみましょう。慣れてくれば運動が楽しくなり、運動時間を増やしたくなるはず。 - 仕事の後で疲れているので運動は無理
1日の仕事の後では疲れすぎているのなら、仕事前の朝や昼休みに運動をしてみましょう。 - グループで運動するのは気が引ける
1人でできる運動もたくさんあります。1人でウォーキングをしてもよいし、運動のためのテレビ番組やDVDを見る方法もあります。 - 運動の後に筋肉痛が起こるのはたまらない
運動をゆっくり初めて、徐々に体を慣らしていけば、筋肉痛を抑えられます。運動の前後にストレッチやウォームアップ、クールダウンを行い、痛みのないやり方をみつけましょう。 - 運動着や靴の準備をしていないので今日はやめておこう
運動着などの特別な準備がなくても、動きやすい服を着て足に合った靴があれば運動はできます。 - 悪天候のために運動をできない
暑すぎる、寒すぎる、湿度が高いなど、野外の運動が無理なときは、ショッピングモールなど屋内で運動する方法があります。
寒い日には防寒具、暑い日には通気性・速乾性のある服、日差しが強いときは日よけのための帽子、それから皮膚を刺激しない靴下などの工夫が役立つこともあります。 - 運動に飽きてしまう
楽しく続けられる運動をみつけたり、異なる運動をとり混ぜて行うと長続きします。特にお金をかけなくとも工夫することで変化が出てきます。 - 膝や腰が痛むので、ウォーキングは無理
座ったままできる運動や水中運動にトライしましょう。 - 低血糖が心配
医師や医療スタッフに相談し、安心して運動できるやり方をみつけましょう。 - 運動が病状を悪化させてしまうのではないかと心配
運動を始めたいと思ったら、まず主治医に詳しくチェックしてもらうことが大切です。気になる症状があればそのことを話して、病態に合った適切な運動プログラムを提案してもらいましょう。
運動が風邪から体を守る(米国スポーツ医学会(ACSM))
運動ガイドイラン・リソース(米国スポーツ医学会(ACSM)、米国心臓学会(AHA))
運動:障害を乗り越えて(米国糖尿病学会(ADA))
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