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2009年07月24日

牛乳を飲む人で心臓病などの死亡リスクが低下

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食事療法

 牛乳をよく飲む人では冠動脈性心疾患(CHD)などの死亡危険が最大で15-20%低下するという知見が欧州で発表された。

 英国カーディフ大学のピーター エルウッド教授と英国レディング大学のイアン ギブンズ教授らは、食品の連鎖と健康との関わりを調査するために、牛乳の摂取に関する324の研究を調査し、CHD、脳卒中、糖尿病、がんなどの慢性疾患との関連を検証した。

 「牛乳の摂取とCHDや脳卒中、結腸直腸がんによる死亡は関連があることが示された」とギブンズ教授は述べている。「冠動脈性心疾患、心臓発作、結腸直腸がんの死者数を考慮したところ、こうした病気による死亡リスクは牛乳の摂取により有意に低下した」。

 牛乳やヨーグルトといった乳製品には蛋白質やカルシウム、ビタミンD、カリウムなどに加え、糖質や飽和脂肪酸も含まれる。乳製品を多くとりすぎると、前立腺がんになる危険が高くなる可能性があると指摘されている。また、乳製品などから飽和脂肪酸をとりすぎると、動脈硬化が起こりやすくなることも知られており、「不健康な食品」とされている風潮がある。

 この点について研究者らは、「前立腺がんを例外として、牛乳を飲むことがどんな条件においても死亡リスクを高めるという証拠はみつからなかった。欧米人の牛乳摂取が死亡リスクを低下させる説得力のある証拠がある」としている。

 牛乳はカルシウムの供給源として優れた食品であり、カルシウムとビタミンDを摂取することで骨折の危険性が下がる。牛乳など乳製品の摂取が骨量(骨密度)を増やし、骨折率の低下に良い影響を与えることを示した研究は多い。ギブンズ教授は「骨の成長と健康は体にとって重要だ」と指摘している。牛乳の摂取は生活習慣病の減少につながり、医療費の縮小に役立つ可能性があるという。

 牛乳は朝、昼、夕の3食に分けてとってもよいし、間食にしてもよいが、飽和脂肪酸が多いので動脈硬化の予防上とりすぎは避けたい。低脂肪牛乳や脱脂乳(スキムミルク)を利用すると、飽和脂肪酸やコレステロールを抑えることができる。

牛乳を飲む人は長生きする 研究者が報告(英文、リリース)

関連情報
乳製品からカルシウムをよくとる人は脳卒中が3割減少(糖尿病NET)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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