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2009年06月29日
いまが旬のトマトとブロッコリー 食事にとりいれたい野菜
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トマトの原産はアンデス高原あたりと考えられており、16世紀頃にジャガイモとともに欧州にもたらされた。日本に入ってきたのは明治時代になってから。そのころ栽培されたのは赤色系の酸味の強い品種で、消費はそれほど増えなかった。その後、日本人のし好に合った食味の優れる品種の育成が盛んに行われた。いま主流になっている品種は酸味や臭みの少ない「桃色系トマト」。ミニトマトが1970年代に普及し、桃色系トマトをもとに皮が薄くて柔らかい品種「桃太郎」が80年代に開発された。
トマトの赤い色素「リコピン(リコペン)」はカロテノイドの一種。リコピンは活性酸素を消去する作用が強い。善玉コレステロール(HDL)の酸化を阻害し、動脈硬化の抑制につながる。野菜のリコピンを多くとっている人で、心筋梗塞など心血管疾患、がんなどのリスクが低下したという報告は多くある。
その他にもトマトは、体内でビタミンAに変わるβ-カロテンや、ビタミンC、ビタミンB群などのビタミン、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛、セレンなどのミネラルを含んでいる。
ブロッコリーにもカロテン(ビタミンA)が多く含まれる。その他にもビタミンC、カリウム、カルシウム、鉄分、食物繊維など、多くの栄養を含んでいる。ブロッコリーは茎にも栄養が豊富に含まれる。花の部分だけでなく茎も刻んで調理したい。
ビタミンCは主に淡色野菜に多く含まれるが、ブロッコリー100gにレモン果汁の2倍以上にあたる120mgが含まれている。ビタミンCは加熱すると失われてしまうので、さっと固めに手早くゆでると効率よくとることができる。脂溶性ビタミンであるビタミンAは油と相性がよいので、油を使った炒め物にすればビタミンCの損失も少なくてすむ。
スーパーの野菜売り場などで、かいわれ大根のような「スプラウト」と呼ばれる発芽野菜を見かけたことがあるだろうか。ブロッコリーもスプラウトのひとつで、他にはマスタード、アルファルファ、レッドキャベツなどが売られている。
ブロッコリー(スプラウト)には、強い抗酸化作用のある「スルフォラファン」が豊富に含まれる。スルフォラファンは、人間の胃の中に住んでいるヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に対し抗生作用をもつとみられている成分。ピロリ菌は潰瘍や胃炎、胃がんなどの原因となる。
米国がん研究協会(AICR)の発表によると、ブロッコリーを食べると、スルフォラファンの働きでピロリ菌を抑えられる可
8週間後に、ブロッコリーを食べたグループではピロリ菌が有意に減少したが、アルファルファを食べたグループでは変化がみられなかった。ブロッコリーを食べるのをやめると、2ヵ月後にピロリ菌は以前の水準に増加していた。
特に若い世代の摂取量が低く、20代や30代などでは目標量の7割しか野菜を食べていない。野菜料理は不足しがちなので、毎日の食事に意識して取り入れたい。

生産農業所得統計(農林水産省)
Cancer Prevention Research 2, 353, April 1, 2009. doi: 10.1158/1940-6207.
関連サイト
社団法人家の光協会
トマト大学(カゴメ(株))
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