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2009年02月04日
糖尿病の世紀を生きるための知恵 東京で糖尿病市民セミナー
2月1日から始った生活習慣病予防週間に合わせ、東京都糖尿病協会(日本糖尿病協会東京都支部)主催の「第7回糖尿病市民セミナー・東京」が有楽町のよみうりホールで開催された。テーマは「糖尿病の世紀を生き抜く!」。
糖尿病の治療は目標と自覚をもって続けることが大切

基調テーマ「糖尿病の世紀を生き抜く!」
[日時] 2009年2月1日(日)午後1時-4時40分
[会場] よみうりホール(千代田区有楽町)
[主催] 日本糖尿病協会東京都支部(東京都糖尿病協会)、ニプロ(株)、アステラス製薬(株)
[後援] 東京都糖尿病対策推進会議、東京都医師会、東京内科医会、東京都栄養士会

会場からの質問に答える渡邊昌氏(右)と金澤康徳氏(左)
糖尿病の発症には生活習慣や遺伝的な要因が関わっている
最近の研究で糖尿病のなりやすさを決める遺伝子の解明が少しずつ進んでいる。糖尿病の発症には複数の遺伝子が関わっていることが具体的にわかってきた。「第2部 糖尿病になりやすいとしたら?-氏か育ちか自分自身か-」では、糖尿病の遺伝素因について最新の研究成果が紹介された。
安田和基・国立国際医療センター研究所代謝疾患研究部長は、「糖尿病になりやすい? なりにくい?-遺伝素因とは何か-」と題し講演。2型糖尿病の発症には、生活習慣とともに遺伝的な要因が強く関係しているが、その仕組みは複雑で、いつくもの変化が合わさり「糖尿病のなりやすい体質」をつくるという。家族に糖尿病患者がいないのに子供が糖尿病を発症したり、その逆のことも起こりえる。
世界中の研究者がヒトゲノム(DNA情報)の解読を進めており、糖尿病の発症に30億の塩基配列のうち並び方がひとつでも違う「SNP(スニップ、一塩基多型)」が関わっているが分かってきた。日本人を含む東アジア人の2型糖尿病に強く関わるSNPの発見は困難だったが、日本が国家プロジェクトとして推進した「ミレニアムプロジェクト」など大規模研究で、「KCNQ1」という遺伝子の変異が深く関わっていることが発見された。「KCNQ1」の1塩基の違いは、日本人の2型糖尿病のおよそ2割に影響しているという。SNPは病気のなりやすさや薬の効きやすさ・副作用などにも関係していると考えられており、診断・予防への応用や、新たな治療法の開発に役立つと期待されてい大切なのは完全主義にならず、あきらめずに治療を継続すること
福岡秀興・早稲田大学胎生期エピジェネティックス制御研究所教授は、「糖尿病になりやすい? なりにくい?-生まれる前の子宮内環境と生育史-」と題し講演。日本の若い女性では「やせ願望」が多くみられ、15歳から29歳の女性で約4分の1がBMI(体格指数)が18.5以下の「やせ」であるという報告がある。こうした女性のやせ傾向は赤ちゃんの出生体重の減少につながっている。子供の平均出生体重はこの30年間に約200g減り、2006年は男児3050g、女児2960gまで減少しており、出生体重2500g以下の低出生体重児も増えているという。
子宮の中で低栄養や過量栄養の状態で発育し、出生後早期から高エネルギーの食事や運動不足が重なると、2型糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病を発症しやすくなるおそれがあるという。胎内での低栄善状態が素因をつくり、それにマイナスの生活習慣が加わる2段階の過程を経て発症する(成人病胎見発症説)。生まれてくる子供の健康を守るために、妊娠前や妊娠中の栄養や食生活、体重コントロールについて、もう一度考える必要がある。
磯博康・大阪大学大学院公衆衛生学教授は「糖尿病と合併症-生活習慣との関わり-」と題し講演。糖尿病の発症に大きく関わる生活習慣として、肥満、運動不足、喫煙などはよく知られるが、日本人を対象とした大規模臨床研究で、アルコール摂取、やせ、マグネシウム摂取、緑茶・コーヒー、早食いなどの食事パターンなどの影響も大きいことが分かってきた。さまざまな研究結果により、エネルギーの過剰摂取を抑え肥満を予防し、栄養バランスの良い食事を続けることが有効だと示し[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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