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2010年02月13日

「メタボの予防は、糖尿病の予防」糖尿病市民セミナー

 日本糖尿病協会東京都支部(東京都糖尿病協会)は2月7日、有楽町のよみうりホールで「第8回糖尿病市民セミナー・東京」を開いた。「メタボの予防は糖尿病の予防」との観点から、糖尿病専門医や糖尿病療養指導士ら9人が分かりやすく解説。会場では医療従事者や一般市民など約600人が熱心に耳を傾けていた。

 2型糖尿病もメタボリックシンドロームも治療をしないで放置しておくと動脈硬化が進みやすくなる。糖尿病の予防や治療は、血糖だけでなく脂質や血圧なども大きく関わる。食事や運動を中心にメンタルケアを含め改善していくことが大切となる。

 第1部「糖尿病とメタボの関係」では東京逓信病院内科部長の宮崎滋氏が、内臓脂肪が蓄積した状態のメタボがなぜ良くないのかを「メタボとは?」と題し講演。2型糖尿病は遺伝的な因子に過食や運動不足、肥満などの因子が重なり発症する。日本人の遺伝因子は変わっていないのに、この50年間で糖尿病有病数は30倍に増えたのは、日本人の生活習慣がインスリンの働きを悪くする方向に変わってきた影響が大きいという。脂肪や糖分が多く含まれる食品が好まれ、移動も車を使うことが多くなり体を動かさなくなった。宮崎滋氏は「現代人は太るために生活しているようなもの。食事や運動などの総合的な生活改善に取り組むことが大切」と話した。

 心臓病や脳卒中の原因となる動脈硬化は、糖尿病やメタボの人で進みやすく、両方があてはまる人では特に発症しやすくなる。しかし、現在の体重の5%を3〜6ヵ月かけて減らしただけで、メタボを指摘された人では血圧、血糖、脂質の改善が期待できるという。1ヵ月で0.5〜1.0kg減らすのは、工夫すればそれほど難しくない。宮崎氏は「生活習慣を見直し、体重を減らすよう心がけることが大事」とアドバイスした。

 虎の門病院の森保道氏は「メタボと糖尿病 共通点・相違点?」と題し講演。厚生労働省の調査では1320万人と国民の約2割が糖尿病かその予備群と推計されている。2型糖尿病は中高年だけの問題ではなく、幼少から豊かな生活を享受してきた10〜30代の若年層にも急速に広がってきているという。糖尿病とメタボは、体の中で特に血管を痛めやすくなる点が共通している。動脈硬化は早い時期から進行していくので「少し太り気味で血圧や血糖、脂質がやや高いと言われたが、まだ病気ではないという人でも安心はできない。メタボへの取組みは早い時期から始めることが重要」と強調した。

 埼玉医科大学総合医療センターの堀川直史氏は「メンタルなファクターとの関係は?」と題し講演。糖尿病の療養は多くのストレスを伴う。ストレスの原因となる出来事や環境などの因子(ストレッサー)は人によって異なるが、自分でストレス状態に気づき、セルフケアを試みることが大切だという。疲れをとるためのリラクゼーションや、生活のバランスの回復、相談できる信頼できる人をみつけることなどがストレス解消に役立つ。日常や仕事で上手に休養をとることも効果的で、完璧主義にならないで「いまから何ができるかという問題解決に考え方を変えることも大切」だという。

 日本糖尿病協会支部では今後も、市民公開講座や糖尿病教室の開催を各地で予定している。糖尿病専門医や療養指導士らが分かりやすく解説し、日常の療養にすぐに役立つ情報を楽しく知ることができる。近くで開催されるときは患者や家族、知り合いなどを連れ、ぜひ参加してみてはいかがだろう。

(社)日本糖尿病協会 東京都支部(東京都糖尿病協会)

関連情報
動脈硬化の病気を防ぐガイドブック(日本動脈硬化学会 一般啓発サイト)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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