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2008年05月29日

徳島県 「全国ワースト1位」返上をめざし、みんなで糖尿病対策

 徳島県で2型糖尿病などの生活習慣病の有病者や予備群が年々増えているのを受け、さまざまな対策が進められている。2型糖尿病の増加は全国で課題になっているので、徳島県の取り組みは注目されている。

 徳島県は糖尿病の死亡率が1993年以来14年連続で全国ワースト1位となっている。2003年の調査によると、糖尿病有病者と予備群の数は5万1,000人に上り、成人男性の24%、女性の22%が該当する。対策を行わないと、2010年には6万6,000人に増える予測している

 県は糖尿病対策を最優先で取り組む健康課題と位置づけている。有病者数を7%減らし「糖尿病死亡率全国最下位からの脱出」をめざし、県民の食生活や運動習慣を改善しようと、さまざまな対策を行っている。

 地域保健や医療機関が連携し、地域ぐるみで糖尿病のリスクの高い人をみつけだし、食事や運動などの生活習慣の改善に取り組むことが柱になる。徳島大学や医療機関、団体や行政機関により「糖尿病克服県民会議」を構成し、県を挙げて取り組む「地域医療ネットワーク」の構築をはじめている。

 徳島大学では「糖尿病対策センター」を設置し、先端的研究や疫学調査などの研究成果を活用した取り組みを推進している。

健康増進計画「健康徳島21-2007改定版-」
阿波踊り体操

 徳島の伝統芸能として有名な阿波踊りをアレンジし、子どもから大人まで手軽に楽しくできる運動として、田中俊夫・徳島大学大学開放実践センター教授が構成した。
 軽快なメロディーに合わせて手足を動かし、踊りの基本的な動作を取り入れた約20種類の運動をすることで、腰のストレッチや筋力トレーニングも行えるよう工夫されている。
 所要時間は、子供から高齢者まで行える「基本編」は3分30秒、椅子に座ったままできる「シニア編」は3分45秒で一巡する。
 愛好者の輪は徳島県だけでなく、全国にも広がっているという。県のホームページから体操の模範演技のビデオを見ることができる。
阿波踊り体操解説書(徳島県ホームページ/PDF)
 県は2005年に県医師会と共同で「糖尿病緊急事態宣言」を行い、2006年に県内の約50団体からなる「みんなでつくろう!健康とくしま県民会議」を設立した。「みんなでつくろう!」をキーワードに、バランスのとれた食生活や適度な運動習慣、たばこ対策などの生活習慣づくりを、県民総ぐるみの健康づくり運動として推進している。
阿波踊り体操・
ヘルシー阿波レシピ
 糖尿病対策には、県民一人ひとりが取り組むことが求められる。そこで、健康づくりを効果的に支援するため、郷土芸能である阿波踊りをベースに、短時間で全身を動かし、肩や腰をほぐし、よい姿勢と強い足腰を保つ効果のある「阿波踊り体操」を考案した。
 郷土料理をアレンジし、脂肪を抑え、食物繊維が豊富な「ヘルシー阿波レシピ」も作成。こうしたサポートツールの普及啓発を進めている。
健康とくしま応援団
 食生活や運動習慣の改善、たばこ対策などの健康づくりをサポートするための環境整備に取り組む「健康とくしま応援団」を募集し、地域での「健康とくしま運動」を進めている。
糖尿病アタック作戦
 働き盛りの世代の糖尿病のリスクの高い人を対象に、保健指導等に関わる人材の育成・確保や在宅糖尿病療養者に対する地域ぐるみの支援体制の構築する。さらに地域での医療内容の標準化や、病院と診療所との機能分化などを目的とする「クリティカルパス」を運用し、地域医療の連携を図っている。
歯周病と糖尿病は密接に関係 徳島県歯科医師会がDVDを作製
 県歯科医師会は、歯周病と糖尿病は関連が深いことや、歯のケアと生活習慣の改善を同時に進めることの大切さを啓発するDVDを作製した。
 歯周病が悪化すると、細菌が全身に広がって糖尿病を悪化させる。また、糖尿病が進行すると細菌に感染しやすくなり、血流が低下し歯周病が悪化する。
 DVDは約11分で、徳島大歯学部の永田俊彦教授や糖尿病の専門医など4人のインタビューを中心に構成されている。歯みがきの正しい方法や、食事療法による血糖コントロールの重要性を呼びかけている。
 約600枚を制作し、会員の歯科医師や各保健所、県内のケーブルテレビ会社などに配布し、各診療所や県主催のイベントなどの際に上映してもらう。
徳島県立総合大学校「まなびーあ徳島」が開校
 県は6月1日、県立総合大学校を開校した。県内の既存の教育機関を一元化し、横断的な「学びの拠点」とするのが狙い。愛称は公募により「まなびーあ徳島」に決定した。
 自治研修センターと総合教育センターに本部事務局を置き、教育社会(生活環境、文化芸術、健康福祉、情報通信、産業経済、建設技術、危機管理)の8学部や、看護専門学校などから構成される医療専門養成コース、産業人材養成コースなどを設置する。
 6月8日には総合教育センターで開校記念式典を開催する。垣塚彰・京都大大学院生命科学研究科教授が「分子が織りなす生命(いのち)の不思議 どうして病気になるの? 運動しても肥満は防げない? がん・神経難病、肥満、糖尿病をめぐって」をテーマに講演する。
「ウォーキングチャレンジ月間」を開始
 2型糖尿病などの生活習慣病は、過食や運動不足、肥満の増加が大きな要因となる。
 そこでウォーキングをきっかけに日常生活に運動を取り入れ、運動不足を解消してもらおうと、県は「徳島県ウオーキング協会」と協力して地域ウォーキング教室を開催している。
 さらに6月、7月を「ウォーキングチャレンジ月間」として、運動をこれから始めたいというウォーキング初心者を対象に、毎週水曜日に講座を実施する。

徳島県ホームページ 健康・医療
  徳島県健康増進計画「健康徳島21-2007改定版-」

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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