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2017年01月19日

納豆はスーパーフード 脳卒中や心疾患のリスクが低下

 納豆はさまざまな健康に良い成分が含まれる優れた食品だ。納豆が脳卒中、虚血性心疾患の死亡リスクが低下させるという研究が発表された。
納豆は日本人の健康を支えてきた
 納豆は日本人の健康を支えてきた伝統食品だ。納豆は、煮大豆を納豆菌が発酵させることでできる食品で、この発酵過程で「ナットウキナーゼ」をはじめとするさまざまな栄養素が生成される。

 納豆のネバネバ部分に含まれるタンパク質分解酵素が「ナットウキナーゼ」。血栓を溶けにくくする物質を分解する血栓溶解作用などが報告されている。また、ビタミンK2は骨タンパク質の働きや骨形成を促進する。

 納豆には良質な植物性タンパク質が含まれ、1パック(50g)のカロリーは100kcalと低カロリーだ。カルシウムは45mg、カリウムは330mg、食物繊維は3.3g、それぞれ含まれる。糖尿病や高血圧の食事療法にも活用したい食品だ。

 また、納豆などの大豆食品に含まれる「イソフラボン」についても、骨粗鬆症の予防や更年期障害を軽減する、脂質代謝の改善などに有効であるといった報告がされている。

 「イソフラボン」をよく食べる女性は乳がんになりにくいという研究が報告されており注目されている。イソフラボンの化学構造は女性ホルモンに似ており、女性ホルモンは乳がんの発生を促進する。イソフラボンが女性ホルモンを邪魔することにより、乳がんを予防する効果があると考えられている。

納豆が脳卒中、虚血性心疾患の死亡リスクが低下
 納豆を摂取すると、脳梗塞や虚血性心疾患などの心血管疾患の死亡率が低下するという研究成果を、岐阜大学の研究チームが発表した。

 研究チームは、岐阜県高山市で実施されている大規模研究「高山スタディ」に参加した35歳以上の男性1万3,355人、女性1万5,724人を対象に調査した。1992年の調査開始時に大豆摂取量の調査を行い、約16年追跡して調査した。

 期間中に脳卒中で677人、虚血性心疾患で308人が死亡するなど、心血管疾患(CVD)により計1678人が死亡した。

 納豆の摂取量とCVDとの関連を解析したところ、納豆の摂取量により4グループに分けると、もっとも納豆を摂っているグループは、もっとも少ないグループに比べて、CVDによる死亡リスクが25%低下した(HR:0.75、95%CI:0.64〜0.88、p=0.0004)。

 また、脳卒中のリスクについて、大豆タンパク質をもっとも摂っているグループは25%、納豆をもっとも摂っているグループは32%それぞれリスクが低下した(総大豆タンパク質でのHR:0.75、95%CI:0.57〜0.99、p=0.03、納豆でのHR:0.68、95%CI:0.52〜0.88、p=0.0004)。

 さらに、納豆をもっとも摂っているグループは虚血性脳卒中における死亡リスクも33%低下した(HR:0.67、95%CI:0.47〜0.95、p=0.03)。

 なお、すべてのCVDによる死亡リスクと、総大豆タンパク、総大豆イソフラボン、納豆以外の大豆製品からの大豆タンパク質や大豆イソフラボンの摂取ついては、有意な関連は認められなかった。
納豆は上手に食生活に役立てたい食品
 今回の研究によって、納豆を食べることは心血管疾患の予防に有用であることが示唆された。納豆が健康に良いとされる調査例がまた一つ増えた。

 研究は、米国栄養学会が発行する医学誌「American Journal of Clinical Nutrition」に発表された。

 なお、血栓症などで処方される医薬品「ワルファリン」は血液を固まりにくくするが、納豆にはビタミンK2はこれに対する拮抗作用があり、効果が減弱される。

 そのため、ワルファリンを服用中の患者、納豆などのビタミンK2を多く含む食品の摂取は制限されている。

Dietary soy and natto intake and cardiovascular disease mortality in Japanese adults: the Takayama study(American Journal of Clinical Nutrition 2016年12月7日) 高山スタディ(岐阜大学疫学・予防医学分野)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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