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2013年06月25日
長生きするための「健康な食事」基準作り 厚労省検討会が初会合
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厚生労働省は、健康な食事の考え方や、その具体的な目安を提示することを目的とする「日本人の長寿を支える『健康な食事』のあり方に関する検討会」(座長:中村丁次・神奈川県立保健福祉大学長)の初会合を開いた。
1回の食事ごとの摂取基準を設置
外食や中食、宅配食を利用する人が増え、適正な栄養バランスやカロリー摂取の規範を示す必要性が指摘されていることから、厚生労働省は、1回の食事ごとの食品の摂取量の基準を新たに作り、総菜などを活用した「健康な食事」の具体的なメニューを示す基準作りに着手した。
日本の経済の安定成長を推進するにあたり、食品産業を育成し、食品の健康増進機能を解明し評価方法を定める仕組みづくりが求められている。成長戦略「日本再興戦略」が6月に閣議決定され、規制改革によって民間活力を最大限に引き出す方針が示された。「食の有する健康増進機能の活用」が重視され、健康食品などの加工食品や農林水産物に対し、科学的根拠をもとに機能性を表示できる新たな方策について検討することになった。
外食や中食、調理済みの食品を届ける宅配食は年々増加する傾向にある。外食が食事への支出全体に占める比率は、1975年に27.8%だったのが2011年には44.2%に拡大した。1人暮らしの高齢者の増加などの影響を受け、食品宅配の市場規模は2009年には1兆6,166億円だったのが、2015年には1兆9,021億円に拡大すると予測されている。
一方で国は、1日に必要なタンパク質やビタミンなどの栄養素の摂取量を示した「食事摂取基準」(2010年)を策定したが、1回の食事ごとの目安は設けていない。「国民にとって、何をどれくらい食べればいいのか分かりづらく、外食や中食の栄養バランスの偏りにつながっている」と、高田和子委員(国立健康・栄養研究所栄養ケア・マネジメント研究室長)は指摘した。
検討会では、1回の食事で野菜や魚などを何グラム食べればいいかといった新たな基準を作り、総菜や弁当を活用した「健康な食事」の具体的なメニューを示すことを決めた。また、基準を満たした総菜や弁当などを認証する新たな仕組みについても検討を進め、1年後をめどに報告書をまとめる予定だ。
検討会の座長を務める中村丁次氏は、「外食や中食、宅配食などの便利なサービスの利用が増え、特に高齢者で食生活のバランスの乱れが懸念されている。食事摂取基準では1日単位の摂取目安量を示してきたが、1回の食事が健康的なものかどうか判断しづらかった。外食などをうまく活用できるよう1食ずつの分かりやすい基準作りを進めていきたい」と述べた。
日本食は世界的な「健康食」
武見ゆかり委員(女子栄養大学教授)は、日本の食生活指針(2000年)には「伝統的な食物の組合せ」を重視するなど多面的な要素が含まれるが、「健康な食事」の考え方からみて何が必要となるかを再検討する必要があると指摘した。日本の食事ガイドである「食事バランスガイド」は、複数の食材料を組み合わせた料理で、多様な食品をとる食事スタイルがとられているが、米国などの食事ガイドに比べ複雑で分かりにくいため、「より簡潔で分かりやすい食事ガイドが求められている」と述べた。
佐々木敏委員(東京大学大学院教授)は、「日本食(和食)」は日本人の健康や長寿の一因であり、日本食に世界的な関心が集まっている現状を紹介。日本食は西洋の食事とは全く異なり、健康的な食事を追求する世界中の人々にとって模範とみなされることが多いという。
1975〜2011年に糖尿病有病数が著しく増加している一方で、エネルギー摂取量の平均は2,188kcalから1,840kcalに減少し、炭水化物摂取量も減少している。糖尿病の増加原因を、カロリーや炭水化物の過度の摂取に求めることはできない。佐々木委員は「むしろ日本人が高度に精白した米や精製したパンを主食として好んでいることを考えれば、食物繊維の低摂取やグリセミックインデックスの高さが糖尿病増加の原因である可能性がある」と指摘した。
さらに、日本食(和食)の特徴として、▽季節毎に旬の食べ物があり、地場産物を利用できる、▽飽和脂肪酸が少ない、▽米を中心としてカロリー管理が比較的容易にできる点を指摘。日本食に、▽野菜や果物を豊富にとる、▽主食を精製度の低い穀類にする、▽減塩といった要素を加えれば、健康的な食事として評価の高い「地中海食」を超える健康食になる可能性があるという。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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