前回に引き続き糖尿病による合併症のお話です。
自分は糖尿病であるとカミングアウトすると決まって
「足を切ったりする事もあるんでしょ?」なんて言われます。
それだけ糖尿病にとってポピュラーな合併症なのでしょう。
しかし現実的にはなぜそのような事態に陥るのかはしられておりません。
ではなぜ足を切るまで重症化するのでしょうか?
これまで何度も書いてきましたが、糖尿病は血管を傷つける病気です。
特に細い末梢血管に於いては、その症状が顕著に現れます。
その状態を放っておくと神経も犯され、感覚がなくなってしまいます。
元々足の裏は皮が厚い事もあり小さな傷にも気づきにくく
神経が鈍感になっている糖尿病患者や動脈硬化を患っている人などは
知らず知らずに悪化させてしまう事があるのです。
糖尿病をしっかり治療して早期に発見し適切な処置がとれれば
切断などと言った重大な結果にならずにすみますが、
いかんせん自覚症状が薄いので
気づいたときには手遅れという事態も絶えません。
ですから糖尿病患者は足のチェックを欠かしてはならないのです。
糖尿病の治療管理が悪いと「血管障害」「神経障害」という要素に加え
さらには「免疫力の低下」という事態も引き起こします。
細菌などに感染してもそれに対する感染防御が働かなくなり、
これも重症化を促進してしまうのです。
血液循環は下肢で滞りやすく、神経障害も下肢から始まります。
壊疽も下肢に多発します。
小さな傷でも再生する力がなくなり、組織が腐り始め壊疽が起こります。
治療が遅れると進行を阻止するために足の指や、
足そのものの切断が必要になります。
さて、全てがこれで良くなるわけではありませんが、
最近、壊疽の組織をお掃除する治療方法として、
「マゴットセラピー」が注目されております。
それはどんな治療でしょうか?
マゴットとはいわば「ウジ虫」の事です。
ウジ虫と聞いて眉をひそめる方もいると思いますが、
これから解説する事はぜひ読んでいただきたいと思っています。
実はこの治療方法は昔から知られており、
傷を負った人がウジ虫にたかられた場合、通常の治療より
回復が早いと言った報告がなされております。
世界各地の民間療法として確立されている地域もあるほどです。
また国によっては認証されており医療機関に取り入れられております。
では、なぜ「ウジ虫」なのか?
ウジ虫は腐敗した肉を食べるという特性があり、
その際に殺菌や洗浄、そして組織の再生を促すといった
治療に不可欠な行動を取ってくれるのです。
当然生きた組織には干渉しませんし、体内に潜り込む事も無いそうです。
これによって切断を免れた患者が多数存在するそうです。
しかしこの治療方法で懸念される事は
清潔大国日本において「ウジ虫」という
忌み嫌われる生物を使うという事。
どこに国でもそうでしょうが「ハエ」「ウジ虫」と言う物は
好かれる生物ではありません。
特に我が国ではそれが顕著で、その言葉ですら嫌悪の対象であります。
国としてはその生物の排除に懸命になり、庶民生活のレベルに於いても
徹底した清潔な社会を形成しております。
それが証拠にこの数年「ハエ」を見る機会も少なく
実物の「ウジ虫」に於いては私自身ほとんど見ていません。
その忌み嫌われた生物を患部にはわせ、
治療に用いようというのですから、
普及させる事は容易ではないと思います。
勿論医療用に使われるウジ虫は無菌であり、清潔なものです。
現在のところ副作用や重篤な結果を招く報告は無いそうで、
何より切断という事態を免れる可能性の高める治療として
もっともっと注目されるべきだと感じます。
勿論このような治療を行わねばならない状態は回避せねばなりませんが、
このユニークで印象深い「マゴットセラピー」を通して、
壊疽の恐ろしさを知っていただくのが
表現手段を持っている私の責務だと感じております、
まぁ、つたない私ですが、、、、、
編集部より:
このコーナーは、2型糖尿病患者であるgonzuiさんが、ご自身の体験をもとに糖尿病の体験記をマンガで表現し、同じ2型患者さんと悩みを共有し、ご理解いただければ、という目的で制作したコンテンツです。
よって、本内容については、個人の体験をもとにしているため、全ての2型糖尿病患者さんにあてはまらない内容も含んでおります。また、1型糖尿病患者さんを想定したものではありません。
患者さんの体験や感情をストレートに表現した内容には、誤解を生む表現や不愉快と感じる表現もあるかと存じますが、あらかじめご了解の上、ご覧ください。