がんばりすぎない糖尿病ライフ

2026年02月12日

スマートウォッチで見えるのは時間だけじゃない!不整脈の見える化

 みなさまはスマートウォッチを使っていますか?
「もちろん使っているよ!」という方もいれば、「結構流行っているけど、実際に良さがわからないから使ってない・・・」という方も多いと思います。さて、いざ使うと「便利すぎて驚く」のがスマートウォッチの面白いところですが、スマートウォッチは医療者の観点からも非常におすすめできるアイテムです。

不整脈の早期発見で、脳梗塞のリスクを大きく下げる

 スマートウォッチの機能はここ数年で本当に進化しました。
 歩数や睡眠の管理、電子マネー機能も便利ですが、糖尿病をもつ方にとって特に注目したいのが、不整脈、とくに「心房細動(Af)」の兆しを見つける機能です。
 心拍の変化をセンサーで拾い、「不規則かもしれません」ということを教えてくれます。

スマートウォッチで見えるのは時間だけじゃない!不整脈の見える化

※画像はApple Watch

 ここで大切なのは、心房細動は本人がまったく自覚しないことが大半で、放置すると脳梗塞のリスクに繋がりうるタイプの不整脈だという点です。心房細動が続くと、心臓の中で血液がよどみやすくなり、血のかたまり(血栓)ができます。これが脳に飛ぶと脳梗塞を起こします。しかも突然で重く、後遺症が残りやすいタイプであることが厄介です。そして糖尿病がある方では、心房細動になりやすいことも知られています。

糖尿病の人は「心房細動」にご注意 脳梗塞や心不全の原因にも 悪化を防ぐための注意点は?

 当然、早期に発見できれば、そういったリスクを未然に防ぐことができます。また、最近では心臓カテーテル治療の進歩により、完治できることも増えました。

「血糖が測れる」うたい文句には注意が必要

 ここがこの記事のいちばん重要な注意点です。大手ショッピングサイトでは、「血糖が測れる」と宣伝するスマートウォッチが増えていますが、記事執筆時点(2026年2月)では、皮膚の上から正確な血糖値を安定して測る技術は、少なくとも医療として安心して使える形では確立していません。これは国際的にも非常に問題視されており、日本糖尿病学会や、アメリカFDAも注意喚起を出している始末です。

「血糖値も測れる」とうたうスマートウォッチなどの使用に米FDAが注意喚起

 極端な話、もし不正確な数値を信じてインスリン量や補食を調整してしまうと、低血糖や高血糖のために思わぬ体調不良や事故に繋がる可能性があります。
 つまり、スマートウォッチの世界には、不整脈検知機能のような「科学的に根拠がある機能」と、血糖測定のような「そうでないもの」が混在しています。便利そうに見えるものほど、いったん立ち止まって「それは何を根拠にしているのか」を確認してから使うのが安全でしょう。

CGMと連携させて血糖推移を見える化する

※筆者の私物を撮影。

 ところで、持続血糖測定器(CGM)を使用している方は、ぜひ一度試してみてほしい機能があります。それは「CGMのデータをスマートウォッチに飛ばすこと」です。
 仕組みはとてもシンプルです。スマートフォンとスマートウォッチの両方にCGMアプリを入れて同期するだけです。やっていることは本当に「スマートフォンから時計へデータを飛ばして表示している」だけなのですが、体感の便利さが段違いです。正直な本音として、CGMを使っている人なら、この利便性のためだけにスマートウォッチを使ってもいいような気がします。
皆様も、手首の小さな相棒を使ってみるのはいかがでしょうか。

プロフィール

田中慧プロフィール画像

田中 慧
たなか さとし
東京女子医科大学糖尿病代謝内科学分野 嘱託医師
糖尿病専門医/医学博士

10歳で糖尿病を発症。2型糖尿病と診断されていたが、28歳時に遺伝学的検査を受験し、遺伝性糖尿病のMODY3と診断された。ペン型インスリン、CGM使用中。インスリンポンプを使用していた時期もあり。患者としての25年以上の経験と、医師としての専門性を生かし、医療者・患者・家族をつなぐ活動を展開中。X(旧Twitter)では「おだQ」というハンドルネームで約15,000人のフォロワーに向けて糖尿病ライフのヒントを発信している

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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