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2019年07月26日
植物ベースの食事が糖尿病リスクを減少 高カロリー飲料はがんリスクも上昇
植物ベースの食事を摂ることで、2型糖尿病のリスクが減少することが、米国のハーバード公衆衛生大学院の30万人超を対象とした研究で明らかになった。
フランスの10万人超を対象とした大規模調査では、高カロリーの清涼飲料を飲み過ぎると、糖尿病だけでなく、がんのリスクも上昇することが示された。
フランスの10万人超を対象とした大規模調査では、高カロリーの清涼飲料を飲み過ぎると、糖尿病だけでなく、がんのリスクも上昇することが示された。
糖尿病の人に勧められる食品
意識して植物ベースの食事を摂ることで、2型糖尿病のリスクが減少することが、米国のハーバード公衆衛生大学院の研究で明らかになった。研究の詳細は医学誌「JAMA Internal Medicine」に発表された。
「糖尿病の人が食べてはいけない食品はない」というのが食事療法の原則だ。一方で、糖尿病の人に勧められる食品があることが、多くの研究で示されている。
「野菜、全粒穀物、大豆、豆類、ナッツ類、果物などの植物性の食品を十分に摂ることで、2型糖尿病のリスクを減少できることが分かりました。白パンや白米など精製された穀物の代わりに玄米などの全粒穀物を摂り、吸収の早い単純糖質が含まれる清涼飲料やお菓子などを控えることも重要です」と、ハーバード公衆衛生大学院栄養学部のキイ サン氏は言う。
植物ベースの食事が糖尿病リスクを23%低下
研究チームは、植物ベースの食事スタイルと2型糖尿病の発症の関連について、9件の研究から、2型糖尿病を発症した2万3,544人を含む30万7,099人を対象に解析した。
その結果、植物ベースの食事を順守していると、すべての年齢層および体格指数(BMI)のグループで、2型糖尿病のリスクが低下することが示された。植物ベースの食事を摂っている人は、そうでない人に比べ、全体的に2型糖尿病のリスクが23%低下した。
植物ベースの食事が、インスリン感受性と高血圧を改善し、体重増加を減らし、全身の炎症も軽減しやすいことを、研究チームは指摘している。これらは糖尿病のリスクを引き上げる要因だ。植物ベースの食事には、抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、食物繊維を摂りやすいという利点もある。
地中海式ダイエットやDASHダイエットなど、健康的と評価の高い食事スタイルに共通するのは、▼植物性食品を十分に摂取する、▼動物性食品を摂り過ぎない、▼精製されていない全粒穀物を摂る、▼吸収が早く血糖を上げやすい単純糖質を摂り過ぎない――といったことだ。
吸収の早い糖質を摂り過ぎると糖尿病リスクが上昇
糖尿病のリスクを減らすために、健康的な食生活、運動の習慣化、標準体重の維持、禁煙などが必要であることは、過去の研究でも示されている。とくに運動不足の人は、吸収の早い糖質を摂り過ぎると2型糖尿病のリスクが上昇する。
一方、植物ベースの食事には、厳密なビーガンから軽いベジタリアンまで、さまざまなスタイルがある。「とにかく野菜類を食べれば良いというわけでもありません。動物性食品にも良質なタンパク質が含まれており、適度な量を食べることが勧められます」と、サン氏は付け加えている。
「食事以外の生活スタイルにも目を目を向ける必要があります。家族や友人とともに食事をすること、食事ではなるべくゆっくり食べること、食事だけでなく運動習慣も身につけることなど、糖尿病のリスクを減少するためのポイントはいくつかあります」。
「高カロリー飲料」の飲み過ぎでがんリスクが上昇
100ミリリットル増えるとがんリスクは18%増加
「ニュトリネット サンテ(NutriNet-Santé)」研究は、フランス政府が作成した食事スコアが個人の健康にどれだけ影響するかを測定する目的で、2009~2017年に実施された大規模研究。
この研究の過去の解析では、ジャンクフードなどの「超加工食品」の摂取と、死亡リスクの上昇との関連も明らかになっている。超加工食品の摂取率が10%増加すると死亡率は14%増加するという。
今回の研究では、平均年齢42歳のフランス人10万1,257人(21%が男性、79%が女性)を対象に、5.1年(中央値)、最大で9年間、追跡して調査した。参加者に6ヵ月ごとにオンライン上で、24時間以内の食事について3種類のアンケートに回答してもらった。
高カロリー飲料の1日の平均摂取量は、女性で74.6mL、男性で90.3mLだった。期間中にがんと診断されたのは2,193件(乳がん693件、前立腺がん291件、大腸がん166件)。がんの診断時の平均年齢は59歳だった。
解析した結果、高カロリー飲料の摂取量が1日にわずか100mL増えただけで、全がんの発症リスクは18%上昇し、乳がんのリスクは22%上昇することが明らかになった。
「高カロリー飲料」の飲み過ぎで脂肪が蓄積
前立腺がんと大腸がんとの関連はみられなかったが、これらのがんは発症数が限定的であり、高カロリー飲料とがん発症との関連を否定するものではないという。
さらに、低カロリー甘味料を使った飲料の摂取は、すべてのがんについてリスクを上昇させないことが示された。低カロリー甘味料についてはサンプル数が少なかったので、研究チームは「さらなる研究が必要」と指摘している。
「高カロリーの清涼飲料の飲み過ぎと、がんの発症リスクの上昇には関連があることが明らかになりました。高カロリー飲料の飲み過ぎが、内臓や肝臓、膵臓などに蓄積する脂肪、炎症マーカーなどに影響している可能性があります」と、研究者は結論している。
今回の研究は観察研究なので、がんの発症リスクの上昇との因果関係は解明されていないが、「10万人を超える大規模調査で示された意義は大きい」としている。
Association between plant-based dietary patterns and risk of type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis(JAMA Internal Medicine 2019年7月22日)
Study suggests possible link between sugary drinks and cancer(ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2019年7月1日)
Sugary drink consumption and risk of cancer: results from NutriNet-Santé prospective cohort(ブリティッシュ メディカル ジャーナル 2019年7月10日)
Nutrinet-Sante study
Association Between Ultraprocessed Food Consumption and Risk of Mortality Among Middle-aged Adults in France(JAMA Internal Medicine 2019年2月11)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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