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2016年10月17日

トレシーバ注、注射時刻の±8時間の調整が可能に 基礎インスリン初

 ノボ ノルディスク ファーマは9月28日、持効型溶解インスリンアナログ製剤「トレシーバ注フレックスタッチ」「トレシーバ注ペンフィル」(一般名:インスリン デグルデク(遺伝子組換え))について、用法・用量の変更の承認を厚生労働省より取得した。
 これにより、「トレシーバ注」は、注射時刻の調節が必要になった際にも、安全性・有効性を損なわずに注射タイミングを調節することのできる唯一の基礎インスリンアナログ製剤となった。
必要な場合に注射タイミングを調節できる 「用法・用量」の承認を取得
 基礎インスリンを使用するインスリン療法で重要なことは、基礎インスリンを毎日一定の時刻に注射することだ。しかし、実際には多くの患者が日常の生活の中で、旅行、家族の面倒をみる、シフト勤務などやむを得ない状況で、注射時刻のずれを経験している。そして日常的に起こりうる注射時刻のずれは、患者だけでなく医療従事者にとっても、インスリン治療における課題のひとつだった。

 日本で実施された臨床試験「NN1250-4060試験」では、トレシーバ注の注射時刻をあらかじめ合意した注射時刻からプラス・マイナス8時間の範囲で変更することを可能とした群(フレキシブル投与法群)と、注射時刻を固定した群とを比較した。その結果、フレキシブル投与法群でも安全性・有効性が損なわれないことが確かめられた。

 これを受け、同社は必要な場合に注射時刻の変更を可能とする「トレシーバ注」の用法・用量の変更を申請し、承認を取得した。

 「今回実施した臨床試験では、より日常の実態に即した形で注射時刻の調節をデザインしました。日常生活においては、主治医に指示された注射の時刻をうっかり忘れたり、いつもの注射時刻に予定が入ったりすることは、誰にでも起こるやむをえない事情です。今回得られたトレシーバ注の臨床試験結果ならびに『用法・用量』の改訂は、このような場合の不安を和らげ、安心して治療を続けてもらえるエビデンスになります」と、試験を主導した東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の門脇孝教授は述べている。
 「トレシーバ注」の有効成分であるインスリン デグルデクは、皮下投与後に長く安定したマルチヘキサマー(多数の六量体が結合した複合体)を形成し、これがモノマー(単量体)となり徐々に解離し、ゆっくりかつ持続的に血中へ移行することで、長い作用の持続化を実現する。

 「トレシーバ注」は、1日1回投与でより平坦でピークのない血糖降下作用を示し、その効果は24時間を超えて持続する。臨床試験では、夜間低血糖の発現頻度を高めずにHbA1c低下を達成することが確かめられた。

トレシーバ注フレックスタッチ添付文書の改訂箇所
【用法・用量】
通常、成人では、初期は1日1回4~20単位を皮下注射する。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日4~80単位である。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。注射時刻は原則として毎日一定とするが、必要な場合は注射時刻を変更できる。
通常、小児では、1日1回皮下注射する。注射時刻は毎日一定とする。投与量は患者の状態に応じて適宜増減する。他のインスリン製剤を併用することがあるが、他のインスリン製剤の投与量を含めた維持量は、通常1日0.5~1.5単位/kgである。但し、必要により上記用量を超えて使用することがある。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
(2) 成人では、注射時刻は原則として毎日一定とするが、通常の注射時刻から変更する必要がある場合は、血糖値の変動に注意しながら通常の注射時刻の前後8時間以内に注射時刻を変更し、その後は通常の注射時刻に戻すよう指導すること。注射時刻の変更に際して投与間隔が短くなる場合は低血糖の発現に注意するよう指導すること(「2. 重要な基本的注意」、【臨床成績】の項参照)。

(注) 既存の持効型溶解インスリン製剤(インスリン グラルギン、インスリン デテミル)は、「就寝前」、「夕食前」、「朝食前」など投与のタイミングが決められている。

ノボ ノルディスク ファーマ
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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