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2015年07月14日
高カロリー飲料の飲み過ぎで年間18万人以上が死亡 働き盛りで深刻
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高カロリーの清涼飲料や炭酸飲料の飲み過ぎが、肥満、2型糖尿病、心血管疾患、がんなどの発症リスクを高めているという。この研究は、米国心臓学会(AHA)が発行する医学誌「サーキュレーション」に発表された。
食事に加えて高カロリー飲料でエネルギーを過剰に摂取すると、肥満になりやすくなる。糖質の摂り過ぎは、急激な血糖・インスリン濃度の上昇を引き起こし、耐糖能異常、インスリン抵抗性にもつながる。
また、高カロリー飲料の甘味に使用されているフルクトースの摂取は、インスリン抵抗性との関連が強い内臓脂肪量の増加との関連が報告されており、肥満や2型糖尿病を進展させる可能性がある。
その試算によると、高カロリー飲料の飲み過ぎが引き起こす世界の死亡数は、全体で18万4,450人に上り、糖尿病では約13万3,000人、心血管疾患では約4万5,000人、がんでは6,450人に上る。
「高カロリー飲料の消費量を減らすための対策が、世界規模で優先的に行われるべきです。そうした食品の摂取量を減らすことで、年間に数百万人の命を救えます」と、シン氏は強調している。
米国心臓学会(AHA)は、高カロリー飲料を週に450kcal以上摂取しないことを推奨している。これは、350mLの缶入りコーラ約3本分に相当する。
実際には、米国疾病予防管理センター(CDC)の2011年の調査によると、米国では高カロリー飲料を男性は平均178kcal、女性は103kcal、毎日摂取しているという。
高カロリー飲料が引き起こす障害は、高齢者よりも働き盛りの若い世代でより深刻だ。「若い頃に高カロリー飲料を飲むことが習慣化すると、その影響は年齢を重ねてから増大します。加齢に伴い増える2型糖尿病、心血管疾患、一部のがんなどの生活習慣病の発症が増え、死亡率も上昇します」と、シン氏は言う。
高カロリー飲料を飲み過ぎている傾向は、高所得の先進国よりも、低・中所得の途上国でより深刻だという。調査によると、高カロリー飲料に起因する死亡率の推定はメキシコがもっとも高く、死亡者の割合は成人100万人当たり450人に上る。死亡率の推定は、米国が成人100万人当たり125人で次いで多く、日本は成人100万人あたり11.2人で高所得国の中ではもっとも低い。
Sugary Drinks Linked to High Death Tolls Worldwide(タフツ大学 2015年6月29日)
Estimated Global, Regional, and National Disease Burdens Related to Sugar-Sweetened Beverage Consumption in 2010(Circulation 2015年6月29日)
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