ニュース
2013年07月05日
「体に良い食品」を見分ける方法 果汁ジュースや植物油は高カロリー
- キーワード
- メタボリックシンドローム 糖尿病と肥満 食事療法

健康的な食品として人気になり、数年で消費が増えた食品がある。果汁ジュース、ナッツ類、鶏肉、グラノーラ、乾燥果実、バナナ、低脂肪乳、オリーブオイルなどだ。「どれも健康増進に有用な栄養素が含まれている大切な食品です。しかし、中には糖質が多く含まれており、高カロリーのものがあるので注意が必要です」と、マシューズ氏は注意を促している。
例えば、オレンジの100%果汁ジュースは、飲み干すのに1分もかからないが、実はかなりの高カロリーだ。1杯のオレンジジュースのカロリーは100kcal以上で、25gの糖質が含まれる。これはコーラ1杯分とあまり変わらない。しかも果汁ジュースは食物繊維が少ないので、飲んだ後で速く吸収され血糖値が上昇しやすい。
「健康的とされる食品であっても、カロリーが含まれることに注意が必要です。100kcalの果汁ジュースを一気に飲み干すと、すぐに肥満になってしまいます。野菜や果物に含まれるポリフェノール類やビタミンなどの有効成分は、実だけではなく皮にも多く含まれます。英国栄養士会(British Dietetic Association)はキャンペーンを展開し、野菜や果物のジュースは、皮まで使って加工するように呼びかけています」と、マシューズ氏は指摘する。
また、オリーブオイルには、体に良いオレイン酸が多く含まれている。毎日摂取すると、高血圧や心筋梗塞などの循環器系疾患のリスクを減らすという研究が発表され、オリーブオイルをふんだんに使った地中海式ダイエットが健康的な食事として世界的に人気になった。サラダからパスタにまで、オリーブオイルをたっぷりと使うレストランが増えた。
しかし、オリーブオイルにも欠点がある。オリーブオイル1小サジ(5mL)は50kcalもあり、実はかなり高カロリーだ。オリーブオイルを使った料理を大量に食べるとカロリーの摂り過ぎにつながる。

「肥満が急増しているのを受け、牛乳やヨーグルト、クッキーなどのお菓子、ファストフードなどの加工食品にも低脂肪や無脂肪のものが増え、健康的なイメージをアピールしています。しかし、それらにの中には、砂糖や香料を添加し風味を増し、かえって高カロリーになっているものも少なくありません。食品の栄養表示をよく見ることが大切です」(マシューズ氏)。
「以前、テレビで"ハチミツで調理した全粒粉パンが体に良い"と放送されているのを見て、自分で試してみたところ、ウエストサイズが拡がって体重が増えてしまったという消費者から相談を受けました。確かに、健康に良い栄養素が含まれる食品もありますが、多くは低カロリーではないことに注意する必要があります。たくさん食べると、確実に肥満につながります」。
英国では、パイナップルやバナナ、マンゴーなどの果実を加えて作ったスムージーが美容食として人気がある。「果物スムージーにはビタミンやミネラルが含まれていますが、1杯に糖質が15.7gも含まれていることに気が付いている人は少ないのです。実はコーラなどの炭酸飲料よりも高カロリーです」と、マシューズ氏は注意を促す。
また、赤ワインには抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれる。適度に飲むんでいると、血管に対する優れた保護作用があるとされている。しかし、赤ワイン1杯(200mL)は150kcalのカロリーがあり、多量摂取するとアルコールの悪影響があらわれるおそれもある。ワインを飲むのは、ほどほどにしておいた方が良い。
牛肉や豚肉の赤身肉やハムなどの加工肉が、心臓病や糖尿病の危険性が高めることが知られるようになり、鶏肉を好んで購入する人が増えた。しかし、鶏肉は皮の部分のカロリーが高い。皮を付けたまま調理すると、カロリーは100kcalから300kcalに3倍に増える。
「体に良い食品だからといって、カロリーを確かめずに食べていると、かえって肥満につながる場合があります。"これだけを食べていれば大丈夫"という食品はありません。少しずつバランス良く食べることが大切です」と、マシューズ氏はアドバイスしている。
Creating Healthier Communities Together(英国糖尿病学会)
Tesco announces major charity partnership with Diabetes UK(英国糖尿病学会 2013年3月4日)
メタボリックシンドロームの関連記事
- 体重をわずか3%減らすだけで肥満・糖尿病を改善できる 【日本肥満症予防協会セミナー・レポート】
- 糖尿病や肥満の新たな治療 肝臓の「アクチビンE」が脂肪を燃焼
- 糖尿病と心不全リスク 「心不全パンデミック」に3つの方法で対策
- 甘いものを食べるなら日中の活動時間を選ぶとメタボになりにくい
- 「職場ストレス」がメタボの危険性を40%上昇 ストレスを解消
- 対談「女性と生活習慣病予防」一無、二少、三多で健康長寿
- 「ミドリムシ」から糖尿病を改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
- 実践!スローカロリー「上手な糖質活用のノウハウを教えます」
- 「やせ過ぎ」「人とのつながり」「喫煙」が高齢者の寿命を縮める
- 「おにぎりダイエット」で体重が減少 ご飯と運動で腹囲は減らせる