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2013年02月01日
糖尿病腎症を予防 10年内の死亡リスクが低下
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- 糖尿病合併症
この研究は、米国健康栄養調査(NHANES)の1万5,046人以上の10年分のデータを分析したもの。2型糖尿病でない人の9.4%が、また2型糖尿病有病者の42.3%が腎症を発症していた。結果は米国腎臓学会が発行する医学誌「Journal of the American Society of Nephrology」オンライン版に発表された。
調査から死亡率を解析したところ、2型糖尿病と腎症の合併患者では10年以内の累積全死亡リスクが31.1% (95% CI, 24.7-37.5) と高い数値を示した。
しかし、2型糖尿病の人でも腎症を発症しないないと、死亡リスクは11.5%(95% CI, 7.9-15.2)まで低下した。どちらもない人では7.7% (95% CI, 7-8.3)だった。
「糖尿病腎症による死亡リスクは予想以上に高いことが分かりました。課題となっているのは、どうすれば糖尿病腎症を予防できるかという点です。腎症を発症しなければ、死亡リスクの上昇を抑えられることが示されています」と、米ワシントン大学のMaryam Afkarian氏(腎臓病)は話す。
良好な血糖コントロールを続けていれば、多くの場合で腎症を防いだり、進行を抑えることができる。1〜2ヵ月の血糖値の平均を示すHbA1cは重要な血糖コントロール指標になる。HbA1cを良好にコントロールできていれば、腎症を防げることが確かめられている。「糖尿病キャンペーンは、糖尿病を発症するリスクの高い予備群だけでなく、すでに糖尿病を発症している人たちに対しても行うべきでしょう」と、Afkarian氏は強調する。
問題は、2型糖尿病患者と診断されるまでに長い年月が経っている場合が少なくないこと、治療が不十分だったり血糖コントロールが不良な場合も多いことだ。
「2型糖尿病患者は自身の発病に気付かないことがよくあり、診断まで長い期間、高血糖の状態で放置しがちです。このため神経障害や血管障害、視覚障害を合併しやすく、腎障害も重症化しやすくなります」(Afkarian氏)。
「血圧コントロールを行っている患者では、末期腎障害への進行は少ないことが分かっています。腎障害の進行を遅らせるためには、早期に適切な治療介入が重要です」と述べている。
Kidney Disease Accounts for Most of the Increased Risk of Dying Early Among Diabetics(米国腎臓学会)
Kidney Disease and Increased Mortality Risk in Type 2 Diabetes(Journal of the American Society of Nephrology)
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