ニュース
2012年11月21日
トマトの豊富なリコピンが脳卒中を予防する効果
- キーワード
- 食事療法

トマトに豊富に含まれるリコピンはこれまで、脳卒中や心臓病などの生活習慣病の危険性を下げるほか、2型血糖値などを改善することが報告されている。東フィンランド大学の研究チームは、リコピンが脳卒中の予防に有効とする研究結果を、米医学誌「Neurology」に発表した。
カロテンは野菜や果物などに含まれる赤色やオレンジ色の色素成分。カロテノイドを多く含む食品は緑黄色野菜、柿、あんず、柑橘類、すいかなどの果物のほか、とうもろこし、わかめやひじきなど海藻類などがある。
リコピンはカロテノイドのひとつで、強い抗酸化作用をもつことが知られる。リコピンは主に生のトマトやパプリカやスイカのほか、ケチャップ、トマトジュースなどのトマト加工食品にも含まれる。
フィンランドの東フィンランド大学のJouni Karppi氏(公衆衛生・臨床栄養)らは、フィンランド・クオピオで行われた研究に参加した46〜65歳の男性1,031人を対象に、リコピンを含む主要カロテノイド、α-トコフェロール(ビタミンE)、レチノール(ビタミンA)の血液中の濃度と脳卒中との関係を検討した。
12.1年(中央値)の追跡期間中に67人が脳卒中を発症し、うち50例は脳梗塞だった。年齢や検査年、体格指数(BMI)、血圧、喫煙習慣などの要因を調整して解析した結果、血清リコピン値の濃度によって4つに分けたうちのもっとも高いグループは、もっとも低いグループと比べて脳卒中リスクが55%低く、脳梗塞リスクが59%低か
他のカロテノイド(αおよびβ-カロチン)、α-トコフェロール、レチノールには脳卒中予防効果は認められなかったという。
「研究では、野菜や果物を十分にとることで、脳卒中の危険性を下げられることがあらためて示された。トマトなどの野菜や果物を1日当たり5サービングとれば、必要なリコピンを摂取できるだろう」とKarppi氏は述べている。
Can Eating Tomatoes Lower the Risk of Stroke?(米国神経病学会 2012年10月8日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 魚を食べている人は糖尿病リスクが少ない 魚は脳の健康にも良い 中年期の食事改善は効果が高い
- 朝食をしっかりとると糖尿病が改善 血糖管理に大きく影響 朝食で「お腹ポッコリ」肥満を予防
- 「超加工食品」の食べすぎは糖尿病リスクを高める 筋肉の質も低下 「自然な食品」はリスクを減らす
- 糖尿病の食事に「ブロッコリー」を活用 アブラナ科の野菜が血糖や血圧を低下 日本でも指定野菜に
- 糖尿病の人はビタミンやミネラルが不足 「食の多様性」が糖尿病リスクを下げる 食事バランスを改善
- 糖尿病の人は脂肪肝にご注意 ストレスはリスクを高める 緑茶を飲むと脂肪肝が減少
- 「玄米」で糖尿病を改善 食事では「低GI食品」を活用 血糖値を上げにくい新しい米を開発
- ウォーキングなどの運動は糖尿病の人に良い 運動で食欲も抑えられる 認知症の予防にもつながる
- アルコールの飲みすぎは危険 糖尿病・高血圧・肥満のある人は肝臓病リスクが2.4倍に上昇 飲酒により糖尿病リスクが上昇
- 【Web講演を公開】2月は「全国生活習慣病予防月間」
今年のテーマは「少酒~からだにやさしいお酒のたしなみ方」