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2011年12月14日

ストレス対策と心豊かな食事が体重増加を防ぐ

キーワード
食事療法
 年末・年始に宴席や酒席が集中し、食べすぎや高カロリーの食事をとる機会が増える。この時期に体重を増やしてしまうのが心配という人は多い。ストレスを上手にコントロールする方法を覚えると、過食を抑えられるという研究が発表された。その方法とは「なるべく心豊かな食事をとり、ストレスに対処できるよう対策すること」だという。
ストレスが空腹感や満足感、味覚に影響
 糖尿病や肥満とは一見関係のなさそうなストレスや精神疲労が、実は内臓脂肪をためる一因になっていることがある。やけ酒とかやけ食いといわれるように、ストレスが強まったときに、むやみに飲んだり食べたりする人は少なくない。

 ストレスがたまると、食欲中枢を刺激するホルモンが分泌され、食欲が高まり、肥満をまねき、糖尿病、高血圧、脂質異常を悪化させる要因になる。慢性的なストレスに対処し、規則正しい生活、十分な休養と睡眠、適度な運動を心がけることが大切だ。


Jennifer Daubenmier氏
 簡単な対策で体重増加を防げる可能性があると、米カリフォルニア大学の研究者らが発表した。「怒りやストレスを感じているときに、キャンディーバーやお菓子を食べたくなるという経験は誰にでもある。ストレスにつながりやすい習慣を改善し、自分の心の状態に注意する訓練をすると、過食を抑えられるようになる」とカリフォルニア大学サンフランシスコ校統合医療センターのJennifer Daubenmier氏は話す。

 Daubenmier氏によると、ストレスとストレスホルモンであるコルチゾールが、食事の習慣や肥満、健康に密接に関連している可能性がある。

 研究チームは、慢性的にストレスを抱えている過体重や肥満の女性47人に参加してもらい、食事やストレス対処に関するトレーニングを実施するグループと実施しないグループに分けた。参加者は食事のカロリー計算などを行ったことがなく、食事や運動に関する基本的な指導を1度受けただけだった。

 トレーニングを実施するグループには、1回2.5時間の指導を毎週(計9回)受けてもらい、空腹感と満腹感、味覚の満足度に着目した食事法などに加え、1日30分の瞑想を含むストレス対処にも取り組んでもらった。

30分の運動と瞑想でホルモン分泌が整えられる
 参加者に毎日の30分の運動に含め、呼吸を整えて行う瞑想に取り組んでもらい、食事ではなるべくよく味わい、心豊かな食事を続けるよう取り組んでもらった。「研究では、食事の管理に含め、空腹感、満腹感、味覚に対する注意を高めるよう指導した」とDaubenmiersaid氏は説明する。

 試験の前後の脂肪とコルチゾール(ストレスホルモン)値を測定したところ、トレーニングを実施したグループの女性で、身体意識、慢性的なストレス、コルチゾールの分泌、腹部脂肪があきらかに変化していることが確認された。意識、ストレス、コルチゾールの大きな改善がみられた被験者で、腹の脂肪はより多く減っていた。

 コルチゾールなどのホルモンの分泌は生活リズムと関連が深い。生活が不規則になりリズムが崩れると、コルチゾール分泌が乱れるが、ストレスの影響も受けやすい。

 「朝起きて1日の予定に思いをめぐらせたときに、それがストレスに満ちたものであると、コルチゾール分泌が促されるおそれがある。研究ではトレーニングを受け満足度が高い女性では、コルチゾールが安定し肥満と体重増加が減る傾向がみられた」とDaubenmier氏は述べている。

 カリフォルニア大学の他の研究では、ストレスがたまっている人は、砂糖や脂肪を多く含む高カロリーの食品を好む傾向があることも示された。過食を防ぐために、「なるべく噛む回数を増やし味わって食べることが、食欲を亢進するホルモンの作用を抑える」と述べている。

 この研究は医学誌「Journal of Obesity」オンライン版に発表された。

Stress Reduction and Mindful Eating Curb Weight Gain Among Overweight Women(カリフォルニア大学 2011年12月7日)
Mindfulness Intervention for Stress Eating to Reduce Cortisol and Abdominal Fat among Overweight and Obese Women: An Exploratory Randomized Controlled Study
Journal of Obesity Volume 2011, Article ID 651936, 13 pages

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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