ニュース

2011年06月08日

新しい食事ガイドライン「マイプレート」 米オバマ大統領夫人が発表

 米国農務省(USDA)は6月2日、健康的な食生活を促進する米国人向けの食事ガイドライン「マイプレート(MyPlate)」を発表した。「マイプレート」は、肥満や生活習慣病を予防・改善するために、どのような食事をすれば良いのかを、記号(アイコン)でカラフルに視覚的に示したもの。

食事のエネルギー量をコントロールし、
栄養バランスを改善するための10項目

  1. エネルギー・バランス
     適正な体重を維持するために、1日に必要な食事のエネルギー量を知っておくことが必要。エネルギー摂取量(食事)とエネルギー消費量(身体活動)のバランスが乱れないようにしましょう。活発に体を動かすことは、エネルギーのバランス改善に役立ちます。

  2. 食事を楽しく でも食べなすぎないように注意
     ゆっくりと時間をかけて食事をとりましょう。早く食べすぎたり、別のことをしながら食事をとると、食べすぎにつながります。自分に必要な食事の量を知っておき、食前、食中、食後にチェックしましょう。

  3. お皿に料理を盛り付けすぎない
     食べすぎを防ぐために、お皿やボウル、コップは小さめのサイズのものを使い、食事の前に料理の盛り付けを工夫しましょう。外食するときも、小さめのサイズを選び、ふだんの食事の量を思い出しましょう。

  4. 十分にとりたい食品
     野菜や果物、牛乳や乳製品を十分にとりましょう。これらの食品には、カリウム、カルシウム、ビタミンD、食物繊維が豊富に含まれます。

  5. お皿の半分に野菜や果物をのせましょう
     お皿にトマト、イモ類、ブロッコリといった赤色やオレンジ色、緑色の緑黄色野菜や果物を添えましょう。

  6. 低脂肪・無脂肪の牛乳や乳製品に変えてみる
     低脂肪・無脂肪乳であれば、カルシウムなどの必須栄養素の量は同じでも、カロリーや飽和脂肪酸は少なくなります。

  7. 半分は全粒粉をとりましょう
     精製された小麦粉や白米をとる代りに、全粒粉や精白されていない玄米を増やしましょう。

  8. 減らしたい食品
     飽和脂肪酸、糖分、塩分が多く含まれる食品を減らしましょう。これらはソーセージやベーコン、ホットドッグといった肉類、ケーキやクッキー、アイスクリーム、キャンディーなどのお菓子、甘い清涼飲料、スナック類やピザなどの加工食品に多く含まれます。たまにとるのはいいけれど、毎日とるのは良くありません。

  9. 食品の塩分量をチェック
     スープ、パン、冷凍食品などの加工食品は、栄養表示を見て塩分(ナトリウム)量の少ないものを選びましょう。米国で販売されている缶詰食品には「低ナトリウム」や「減ナトリウム」、「無塩」といった表示があります。

  10. 糖分の多い清涼飲料の代りに水を飲みましょう
     飲料水か糖分を加えていない飲料を選び、摂取エネルギー量をコントロールしましょう。米国で販売されている炭酸飲料や清涼飲料、スポーツドリンクの多くは糖分を加えてあるので、注意が必要です。
出典:USDA's MyPlate(米国農務省)
4色のお皿で栄養バランスを表現
 「マイ・プレート」は、米国で1992年に発表された「食品ピラミッド」を発展させたもの。食品ピラミッドでは、米国人の食事摂取基準を示すものとして、食品を量や重要度に応じ三角に配置し表示していた。摂取量がもっとも少ないピラミッドの最上段に脂肪、もっとも多い最下段は穀物となっていた。

 今回発表した「マイプレート」は、まん丸の「お皿」の絵を表示し、1枚の皿を4つに色分けしたデザインになっている。含まれている栄養素ごとに食品を4つのグループに分け、皿に盛った食品を示すことで、バランスの良い食事が視覚的に理解できるようにした。

 お皿の半分を野菜と果物が、残る半分を穀物と蛋白質が占め、乳製品をあらわす飲み物のマークも皿の脇に添えられている。食事ガイドラインでは野菜、果物、全粒粉、蛋白質、乳製品の食品群をバランス良くとることを奨励している。

 農務省での「マイプレート」の発表会では、子供や成人の肥満対策の活動に力を入れているミシェル・オバマ大統領夫人がプレゼンターになり話題となった。

 「毎日の食事をより健康的に変えていくために、シンプルで分かりやすいガイドラインが必要だ。1日の仕事を終え帰宅したときに、ほとんどの人は家事や育児で忙しく、栄養学者と同じように食事の準備するのは難しいだろう。でも子供のお皿を見る余裕はある」とオバマ大統領夫人は説明する。

 どのように食品を組合わせて選べば良いのか、多くの人にとって分かりにくい。「マイプレートは、お皿の半分に野菜と果物をのせ、脂肪分の少ない蛋白質性食品と穀物、低脂肪の乳製品を適切な量だけとるという、健康的な食生活を続けるために必要な知識をシンプルに示している。単に情報を与えるだけでなく、毎日の生活で実用的に活用できるものを目指した」と米農務省のTom Vilsack大臣は述べている。

 米政府は成人の肥満率を15%に抑えることを目標にしているが、米疾病対策センター(CDC)の2009年の統計調査では、肥満の割合は全人口の26.7%に達した。子供の肥満も深刻で、全米の子供の3分の2が体重過多か肥満で、青少年の肥満率は1980年から3倍に増加した。

USDA's MyPlate(米国農務省)

First Lady, Agriculture Secretary Vilsack and Surgeon General Benjamin Launch MyPlate Icon as a New Reminder to Help Consumers to Make Healthier Food Choices(米国農務省 2011年6月2日)
Nutrition, Health and Consumer Advocates Applaud the Launch of the New MyPlate Icon to Help Consumers Make Healthier Food Choices(米国農務省 2011年6月2日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲