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2011年12月01日

心疾患死が上昇 歯止めかからず 2010年人口動態統計

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糖尿病合併症
 厚生労働省は1日、「2010年人口動態統計」確定数を発表した。糖尿病と関連の深い心疾患による死亡率は年々増えている。

 厚生労働省が1日に公表した2010年の人口動態統計(概数)によると、死亡数と死亡率を多い疾患は(1)がん(35万3499人、29.5%)、(2)心疾患(18万9360人、15.8%)、(3)脳血管疾患(12万3461人、10.3%)、(4)肺炎(11万8888人、9.9%)の順。上位3疾患で全死因の半数を超えている。

 日本人の死因でもっとも多い「がん」の死亡数は1981年以降トップ。部位別では男性は肺がんがもっとも多く、次いで胃がん、大腸がんと続く。女性は大腸がんが最多で、肺がん、胃がんの順に続く。

 糖尿病による死亡数は1万4422人(男性7620人、女性6802人)で前年より微増した。ただし、この数値には糖尿病によって発症頻度が高くなる心疾患や脳血管疾患などの死亡数は含まれない。心疾患と脳血管疾患を足した死亡数の割合は全体の26.1%に上る。

心疾患・脳血管疾患は
年齢が高くなるにつれ増加
 心疾患は死亡数・死亡率ともに上昇傾向にある。1985年に脳血管疾患にかわり第2位となり、2009年にいったん減少したが、翌年に再び上昇。全死亡者に占める割合は15.8%になった。

 脳血管疾患は1960年代までは上昇傾向にあったが、その後は死亡数・死亡率ともに減少している。1951年に結核にかわり日本人の死因の1位となり、70年まで1位を続けていたが、81年にがんにかわり第2位になり、85年には心疾患にかわり第3位となった。その後も低下傾向は続いていたが、2010年の死亡数は前年より約1100人増加し全死亡者に占める割合は10.3%になった。

主な死因別にみた死亡率の年次推移
平成22年人口動態統計月報年計(概数)の概況(厚生労働省)
 年齢別に死因をみると、年齢が高くなるにしたがい割合が増えるのは心疾患と脳血管疾患、肺炎。がんで亡くなる人の割合も、男性では60歳代、女性では50歳代までは高いが、それ以降は年齢が上がるにつれ心疾患や脳血管疾患の割合が男女とも高くなる。

 一方で、糖尿病や高血圧性疾患が全死亡に占める割合はそれぞれ1.2%、0.6%と高くないが、実際には糖尿病(高血糖)や高血圧が悪影響をもたらし、心疾患や脳血管疾患が進展するケースが多い。

 日本人の死因の上位を占める生活習慣病の発症に、食事や運動、喫煙、飲酒、ストレスなどの生活習慣が深く関わっている。また、糖尿病、高血圧症、脂質異常症は脳血管疾患や心疾患の危険因子となる。

 糖尿病の予防・対策を行うことで、これらの病気の多くは予防・改善が可能なので、糖尿病療養への取り組みはとりわけ重要となる。血糖値の高い人ではそうでない人に比べ、心疾患の危険性が約3倍に高まるとの調査結果が報告されている。血糖値の高い糖尿病予備群の段階でも、適切なケアをしていないでいると動脈硬化が進展し、心疾患の危険性が高まることも報告されている。

平成22年(2010)人口動態統計(確定数)の概況(厚生労働省)

関連情報
虚血性心疾患の発症リスク:糖尿病の人では3倍に 日本人3万人を調査(糖尿病NET)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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