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2011年05月18日

牛乳や乳製品をとると肥満や2型糖尿病のリスクが低下

 牛乳や乳製品は蛋白質やミネラル、カルシウムの優れた供給源として見直されている。フランスで行われた研究で、牛乳などをとっていると、2型糖尿病の危険性が低下することが分かった。

 牛乳や乳製品は食品の中でも脂肪が多い。飽和脂肪酸をとりすぎると血液中のLDL(悪玉)コレステロール濃度を上昇させることから、牛乳は体にあまり良くない食品と思われていた時期があった。

 しかし最近の研究では、牛乳や乳製品は蛋白質やミネラル、カルシウムの供給源として、優れた食品であることが示されている。適量を毎日とることで、カルシウムの摂取量が増え、骨粗鬆症の予防にもつながることも分かってきた。

牛乳を飲むとメタボや糖尿病のリスクが低下
牛乳を1日にコップ1杯飲むことが勧められている。
コップ1杯(200mL)の牛乳のエネルギーは138kcal。カルシウム、蛋白質、ビタミンB1、B2、B12、ビタミンA、パンテトン酸、カリウム、リンなどの栄養素を効率よくとることができる。

米国糖尿病学会(ADA)は牛乳や乳製品について、次のことを注意している。

  • 牛乳はカルシウムが豊富に含まれる、誰にも勧められる食品。ただし、多量に飲むと脂肪のとりすぎになるので、注意が必要。
  • 低脂肪・無脂肪の牛乳・ヨーグルトであると、多めにとることができる。
  • 加糖ヨーグルトや乳製品は砂糖を多く含むので好ましくない。
  • 牛乳・ヨーグルト1カップの炭水化物量(カーボ・カウンター)は、果物小片やパン1枚と同じくらい。
  • 牛乳が苦手な人は、カルシウムとビタミンDを加えた豆乳を試す方法もある。
 動物性食品から脂肪を多くとる欧米式の食事をとっていると、肥満や2型糖尿病になりやすいことが10年ほど前から知られるようになった。

 食品に含まれる脂肪は細胞の材料になったり、ビタミンの吸収を助け、エネルギー源にもなる大切な栄養素だが、少量でもエネルギーが多いので、とりすぎると体に良くない。1日のエネルギー摂取量に占める脂肪エネルギーの割合が高いと、全体のエネルギー量が多くなりやすく、ひいては肥満やメタボリックシンドローム、さらには動脈硬化の危険性が増す。

 しかし、牛乳やヨーグルトなどの乳製品に関しては、むしろ肥満や糖尿病を低下させることを示した研究が増えている。

 フランスで実施されたコホート研究「インスリン抵抗性シンドローム(DESIR)」研究では、牛乳や乳製品を適度にとっている人は、メタボリックシンドロームや肥満になりにくいことが示された。この研究は米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」4月号に発表された。

 研究には3435人の男女が参加した。9年間のフォローアップの結果、メタボリックシンドロームおよび空腹時血糖異常(IFG)および/または2型糖尿病を発症する割合は、牛乳などの乳製品をとり、カルシウムを十分に摂取すると低下することが分かった。

 ベースライン時および3年後に食事に関するアンケート調査を行い、性別、年齢、体格指数(BMI)、喫煙歴、運動習慣、脂肪摂取などの影響を調整して解析した。その結果、牛乳や乳製品を多くとりカルシウムを摂取している人は、メタボリックシンドロームや2型糖尿病、IFGが減少することが分かった。

 また、BMI値や拡張期血圧値も低下する傾向もみられた。ただしチーズだけは別で、チーズの摂取量の多い人では、逆にメタボリックシンドロームが増えていた。

Dairy Consumption and the Incidence of Hyperglycemia and the Metabolic Syndrome
Diabetes Care April 2011 vol. 34 no. 4 813-817
Low-fat Milk and Yogurt(米国糖尿病学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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