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2010年04月13日

[薬局ヒヤリ・ハット事例] 調剤時の数量、剤形などの間違いが98%

キーワード
医薬品/インスリン
 日本医療機能評価機構は、「薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業」の第2回報告書をまとめた。報告された事例1285件のうち9割は調剤関連で、数量を間違えた事例が突出して多かった。

 報告書によると、2009年4月から12月までの期間中に報告された薬局でのヒヤリ・ハット事例は1285件。参加薬局数は1774で、第1回の906薬局に比べ着実に増えたが、全国の約5万3000薬局の3.3%程度で、依然として低水準にとどまる。また、実際に事例を報告したのは参加登録した薬局の1割に当たる139薬局だった。

 調剤関連のヒヤリ・ハット事例では、調剤時に数量、規格、剤形などを間違えた事例が、全体の約98%を占めた。「数量間違い」が544件と特に多かったほか、「規格・剤形間違い」(179件)、「薬剤取り違え」(164件)、「調剤忘れ」(93件)なども目立っている。そのほか、分包間違い、記載間違い、充填間違い、期限切れなどの事例も報告された。

 疑義照会による対応内容については、「薬剤を変更」した事例がもっとも多く、全体の35%に上る。次いで「分量を変更」(16%)、「用量を変更」(13%)と続く。疑義があると判断した理由は、「処方せんのみで判断」(43%)、「処方せんと薬局で管理している情報で判断」(32%)となっている。

 医薬品(販売名)に関する報告は1715回、後発医薬品は269回、新規収載医薬品は14回。糖尿病の治療に用いられる医薬品に限ってみると、「アマリール1mg錠」(12回)、「ボグリボース錠0.3mg」(4回)、新規収載医薬品では「アピドラ注ソロスター」(1回)が報告された。

 一方、特定保険材料関連の事例についての報告は16回。材料の種類、規格間違い、調剤忘れなどが調剤業務時に発生していた。報告回数は「ナノパスニードル」(4回)、「ペンニードル」「ペンニードル32Gテーパー」(各3回)、「ペンニードル30G8mm」(2回)など。

 「医療安全に有用なので共有すべき」とされた事例も公表された

  • 注射薬調剤の間違い
     処方せんでは「ヒューマログミックス25注キット」から「ミリオペン」に変更されていたが、変更に気づかずに患者にキットをわたしてしまった。薬剤師が在庫チェック中に発見、患者に連絡し、あらためてミリオペンの用法を説明。

  • 薬剤取り違え
     前回まで処方していた「グルコバイ錠」を後発品の「アカルボース錠」に変更していたが、処方せんが後発品不可になった。不可に気づかずに「アカルボース錠」を調剤交付していた。

  • 充填間違い
     錠剤自動分包機で「アマリール3mg錠」を分包していたが、在庫が不足したために補充。誤って「アマリール1mg錠」を補充し、そのまま分包してしまった。「アマリール3mg錠」と「アマリール1mg錠」は錠剤の大きさや色が大きく異なるが、最終監査が不足していた。

調剤に関する「ヒヤリ・ハット」項目
「数量間違い」が突出して多い
日本医療機能評価機構調査(2010年)

薬局ヒヤリ・ハット事例
 2006年6月に医療法が改正され、薬局は病院などと同じく「医療提供施設」として位置づけられ、医薬品の安全使用・管理のための体制整備が義務化された。そこで日本医療機能評価機構は、全国の薬局から報告された健康被害を引き起こしそうな「ヒヤリ」や「ハッ」とした事例(ヒヤリ・ハット事例)をまとめて公表している。医療機関から報告を受けたヒヤリ・ハットの事例データでは3割が薬剤に関するもので、外来患者の半数以上が薬局で調剤を受けており、薬局でも事例が発生していると推測している。
 薬局には、病院などにおける調剤所とは異なり、下記のような特徴があるといわれている。
・複数の医療機関(診療科)の受診による重複投与や相互作用
・一般用医薬品や薬局製剤など、医療用医薬品以外の医薬品の販売
・先発医薬品から後発医薬品(ジェネリック医薬品)への変更

薬局ヒヤリ・ハット事例の収集・分析事業 第2回集計報告(日本医療機能評価機構)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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