ニュース
2010年03月09日
医療費格差が1.6倍に (1) 地域の取り組みで医療費に差
- キーワード
- 糖尿病対策推進会議
厚労省の調査によると、2007年度の1人当たりの医療費は全国平均40万7000円で、前年より1万7000円増えた。広島、高知、山口、鹿児島など西日本が上位を占め、千葉、埼玉、茨城、神奈川、東京などの首都圏が低い「西高東低」になっている。
医療費が上位の都道府県は、入院医療費が高いケースが多い。ベッド数が多かったり入院日数が長かったりする地域は入院医療費が高くなり、それが医療費を押し上げる要因になっている。
2型糖尿病などの生活習慣病も多く、脳梗塞など脳血管疾患などを含めた生活習慣病が医療費に占める割合は38%。外来の受療率は、高血圧は全国平均より8%以上、糖尿病は7%以上多い。入院の受療率は脳血管疾患が全国平均の1.7倍。道健康安全室は「医療費の増加を抑えていくために、若い時からの生活習慣病の予防対策が重要。重症化や合併症の発症を抑えられれば、入院患者を減らすことにつながる」とみ
都道府県別の「地域差指数」
医療機関にかかる機会が多い高齢者の医療費は若年層より高い。全国的に高齢者の比率が高い地域では医療費も上昇し、1人当たり保険給付費も高くなる傾向がある。そこで、厚労省はこうした地域の年齢構成の違いなどをもりこみ数値を補正、都道府県ごとの差を数値化した「地域差指数」も
1人当たりの医療費で1.6倍あった都道府県格差は、地域差指数では1.4倍に縮小する。地域差指数1位の福岡県の1日あたりの医療費は49万4000円で、47位の千葉県は33万2000円。
在宅医療も充実している。同県国保・医療福祉室は「家族との同居率が高いことに加え、県民の7割にかかりつけ医がいて、病気になったときに診療や指導をしてくれる医師がいる。減塩運動やボランティアなど地域に根ざした啓発活動も効果を上げている」と指摘する。
また、長野県では保健師による生活指導も活発だ。県内に設置された10の保健所を拠点に保健指導を展開し、生活習慣病を予防することで医師不足などによる病院の診療科の休廃止を補おうと対策してい
患者がより的確な医療を受けられるよう、疾病や事業ごとに医療機関の機能分担と連携体制を整備し、地域連携クリティカルパスを活用する試みも進められている。2型糖尿病などの生活習慣病で入院する人の比率が全国平均を15〜25%下回っていることについて、県では「医療機関相互の連携を強化した成果もあらわれている」としている。
糖尿病は、適切な治療を続けることで「治ったと同じ状態を保てる病気」といわれることが多い。しかし、適切な治療を受けないでいると、糖尿病腎症、網膜症などの合併症の発症をまねく。また、糖尿病は脳卒中や心筋梗塞などの他の疾患の危険因子となる慢性疾患でもある。
糖尿病の治療では、予防から治療まで切れ目なく対策を施し、地域で症状に応じた適切な治療を受けられる医療連携体制を
都道府県での糖尿病対策でも、地域連携は特に重視されている。地域のかかりつけ医の役割が大きく、他の医療機関との緊密な連携が求められると同時に、病気の治療に加えて生活習慣病などの予防や健康相談も含めた連続した医療を提供するなど、さまざまな
慢性疾患対策で糖尿病の発症と合併症を予防(糖尿病NET)
平成19年度医療費マップ(厚生労働省)
北海道医療費適正化計画
第5次長野県保健医療計画
糖尿病対策推進会議の関連記事
- 糖尿病腎症を予防 自覚症状のない糖尿病 重症化を防ぐ取組みを紹介 厚労省が報告書
- 【山梨県】糖尿病腎症の重症化予防に本腰 糖尿病対策推進会議などと連携
- 「糖尿病性腎症の重症化予防」報告書 かかりつけ医との連携が不可欠
- 糖尿病のデータベース「J-DREAMS」 国立国際医療研究センターと日本糖尿病学会が共同で立ち上げ 全国的な糖尿病の調査研究事業
- 全国の糖尿病偏差値を公表 1位は新潟、ワースト1位は鹿児島 厚労省検討会
- 秋田県の糖尿病対策 県糖尿病療養指導士をスタート
- 自分の健康と病気がよく分かるポータルサイト 【奈良県】
- 医療費格差が1.6倍に (1) 地域の取り組みで医療費に差
- 医療費格差が1.6倍に (2) 受診と予防を促す地域の取組み
- 慢性疾患対策で糖尿病の発症と合併症を予防 厚労省が検討会