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2010年02月25日
米国で人工膵臓プロジェクトが開始 ポンプとCGMを組み合わせたシステム
- キーワード
- 1型糖尿病 インスリンポンプ/CGM
世界で初めての人工膵臓システムが、早ければ4年後に実現するかもしれない。米国で、血糖値の変動をリアルタイムに読み込み、インスリンを投与する「人工膵臓システム」の開発研究が開始された。
国際若年性糖尿病研究財団(JDRF)
http://www.jdrf.org/
米国の国際若年性糖尿病研究財団(JDRF)は1月に、今後約4年間で「人工膵臓システム(artificial pancreas system)」を開発すると発表した。このシステムは血糖変動をリアルタイムにとらえインスリンを自動的に投与するもので、「1型糖尿病治療における革命的な進歩」としている。
開発されるシステムは、既存のインスリンポンプと持続血糖測定(CGM)を組み合わせたものが考えられている。CGMシステムは、腹部の皮下に髪の毛ほどの微細なセンサーを挿入し、連続的に血糖値レベルを測定する。得られた測定値は無線でつなげられたインスリンポンプに送信される。ポンプには精巧なアルゴリズムで管理されたプログラムが組み込まれてあり、低血糖症と高血糖を是正するためにインスリン投与の調整を自動的に行うという。
例えば低血糖が起きていることを検知した場合はインスリン投与を遅くするか停止し、特定の間隔をおいてグルコース濃度にもとづきインスリン投与を自動的に再開するといった動作が行われる。高血糖の範囲に相当する時間を減らすために、自動的にインスリン投与を増やし、血糖が正常に戻ったときは、あらかじめ設定された基礎インスリンの水準にまで戻す。
この自動コントロールシステムでは、「低血糖・高血糖をなるべく最小限に抑える」ことで血糖コントロールを改善することを目指しているが、初期バージョンでは、患者は食事時などに手動で動作する必要があるという。炭水化物摂取量を入力することで必要なインスリン量を算出したり、CGMでの測定値を確かめるため、従来の血糖値測定も必要となる。
この「JDRF人工膵臓プロジェクト」の目標は、約4年間で開発したシステムをプロトタイプを米国食品医薬品局(FDA)の承認審査にかけることだという。JDRFはこのシステム開発に、800万ドル(約7億2,0000万円)という資金を提供し、開発にあたっては、米ジョンソン・エンド・ジョンソン グループのインスリンポンプメーカーAnimas社(ペンシルベニア州)と提携する。
JDRF人工膵臓プロジェクトのリーダーであるAaron Kowalski氏は「より良いコントロールができるようになれば、糖尿病網膜症、腎症、神経障害、心疾患などの長期合併症の危険を著しく低下させることができる」と強調している。
すでに初期の人工膵臓システムの臨床試験が、英ケンブリッジ大学でJDRFの資金提供を受け実施されており、小児の1型糖尿病患者の夜間の重大な低血糖が減少し、血糖コントロールを改善したなどの成果を得ている。この試験結果は「ランセット」2010年2月5日号に発表されhttp://www.jdrf.org/
JDRF人工膵臓プロジェクト(YouTube)
画面をクリックすると再生します
国際若年性糖尿病財団(JDRF)画面をクリックすると再生します
Artificial Pancreas Project
JDRF Forms Partnership with Animas to Develop First-Generation Automated System for Managing Type 1 Diabetes
Early Artificial Pancreas Trials Show Benefits for Kids, Teenagers with Diabetes While Sleeping Overnight
動画をご覧になるためにAdobe Flash Playerというソフトが必要です。Adobe Flash Playerは無料で配布されています。右画像をクリックすると配布ページが開きダウンロードできます。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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