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2009年04月01日

コーヒーが女性の脳卒中リスクを低下 ただし喫煙習慣のない場合に限る

 喫煙をしない女性では、コーヒーを長期間飲んでいる人ほど脳卒中の発症リスクが低下する傾向があるという知見が、米国の大規模疫学研究であきらかになった。米国心臓学会が発行する医学誌「Circulation」2009年3月3日号に発表された。

 研究は、米ハーバード大学(ボストン)医学部・公衆衛生学部の研究者らが、1980年から2004年にかけて24年間、「看護師の健康調査(Nurses Health Study)」に参加した女性8万3,076人(平均年齢55歳)のデータから、コーヒーの摂取状況と脳卒中リスクの関連について分析したもの。参加者は研究開始時に、脳卒中、心疾患、糖尿病、がんの既往歴がなかった。

 参加女性のうち、期間中にカフェイン入りコーヒーを摂取したことがあった人は84%、カフェイン抜きのコーヒーを摂取した人は半数、お茶類を摂取した人は78%、カフェイン入り炭酸飲料を摂取した人は54%だった。期間中に脳卒中を発症したのは2,280例で、およそ半分の1,224例が虚血性脳卒中だった。

 解析した結果、コーヒー摂取と脳卒中リスクの増減との関連はみられなかった。しかし、喫煙やアルコール摂取などの因子を調整したところ、コーヒーの摂取と脳卒中の増減について、下記の知見が得られた。
・1日4カップ以上を飲む女性で20%低下。
・1日2〜3カップを飲む女性で19%低下。
・週に5回から7回飲む情勢で12%低下。

 コーヒーを飲む人では喫煙者が多いことを考慮し、喫煙の影響を取り除いて解析した結果、喫煙したことがない、またはすでに禁煙していて、1日4杯以上コーヒーを摂取する人では脳卒中リスクが43%減少していた。逆に、喫煙者では同程度のコーヒー摂取でも脳卒中のリスク低減は3%にとどまった。

 コーヒー摂取による心疾患リスク上昇はなく、むしろ2型糖尿病の発症を予防する可能性などが指摘された。ただし、喫煙習慣のある人ではこれらの予防効果は得られなかった。また、お茶類やカフェイン入りの飲料、カフェイン抜きのコーヒーでは、脳卒中のリスクとの関連はみられなかった。

 マドリード自治大学のEsther Lopez-Garcia氏(予防医学)は今回の研究について、「コーヒーがもたらす潜在的な便益は、喫煙による健康に対する弊害を打ち消すほどではないことがあきらかになった」と述べている。

 コーヒーのどの成分が脳卒中リスクを低減させるかは明白になっていないが、「カフェイン以外の成分が潜在的に働き、脳卒中予防効果をもたらすと考えられる。コーヒーに含まれる抗酸化物質が炎症を低下させ、血管機能を改善している可能性がある」としている。

 ただし、「コーヒー摂取は不眠症や高血圧、心疾患の合併症がある場合には、悪影響をもたらす可能性もあるので、該当する人は主治医に相談した方が良い」と付け加えている。

Frequent coffee drinking associated with lower stroke risk in nonsmoking women(米国心臓学会)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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