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2007年11月15日

生活習慣病管理料の見直し フットケアや透析も論点に

 厚生労働省は14日、2008年度の診療報酬改定で糖尿病対策を強化する方針を、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協)に提案した。

 糖尿病対策として厚労省が提案したのは、(1)生活習慣病管理料を算定する医療機関を増やす、(2)糖尿病のリスクの高い患者のケアを充実させる、(3)4時間以上の人工透析(長時間透析)を再評価することだった。
生活習慣病管理料の点数を引き下げ、患者負担を減らす
 2型糖尿病など生活習慣病の対策の一環として、医師が食生活や生活習慣の改善を指導した場合に診療報酬(生活習慣病管理料)が算定される。

 患者への指導は、医師が「療養計画書」に、食事や運動、喫煙など改善すべき項目や目標などを細かく記入して患者にわかりやすく説明することが求められる。

 厚労省は薬物療法よりも運動習慣や食生活の改善を重視している。そこで2006年度の診療報酬改定で、院外処方の点数を引き下げるとともに、患者が理解しやすいように「療養計画書」の様式を変更した。

 しかし生活習慣病管理料の1カ月あたりの患者自己負担額が約5,000円と割高で、「患者の負担増につながる」などの理由から利用が進んでいない。「療養計画書の記載内容が多すぎる」という意見もある。中医協の2006年度の調査では、算定している医療機関は全体の11.3%足らずだった。

 そこで厚労省は点数をさらに下げ、療養計画書もわかりやすく変更し、広く普及させる考えだ。2008年度診療報酬改定で実現を目指している。

糖尿病患者のフットケア
 厚労省が公表した資料によると、糖尿病で治療を受けている患者のうち、足壊疽を合併している患者は5年間で、0.4%(1997年)から1.6%(2002年)に約4倍になった。

 糖尿病足病変である足潰瘍や壊疽が進行することで、足趾や下肢の切断につながるおそれがある。神経障害を有する糖尿病患者では自覚症状が乏しく、発見が遅れることも少なくない。

 現状では、看護師などが足潰瘍や壊疽などのリスクの高い患者に、重点的な指導を行っている例が多い。こうした取組みを推進し、重症化を防ぐことが重要となる。

 このため、糖尿病足病変が悪化することを防止するための専門的な指導を実施した場合の、診療報酬の評価の見直しが検討されたが、この会議ではまとまらなかった。

長時間の透析療法の再評価
 新たに透析療法を始める患者のうち、糖尿病が主な疾患である割合が増加している。医療機関で行われる血液透析は、週に3回4〜5時間をかけて行われる。厚労省の調査では、1回当たりの透析時間は4時間以上4.5時間未満が65%と大半を占めることがわかった。

 4時間未満の短時間の透析も、患者から希望されることも多く年々増加してきているという。しかし、短時間で透析を行うと、急激に循環状態が変化することによって、血圧低下や下肢筋肉のけいれん、頭痛、嘔気、嘔吐などの副作用が出やすくなる。時間をかけて透析を行った場合も多い。

 このため厚労省は、4時間以上かけた透析を行った場合に評価する方針を示した。透析についての審議は継続されることになった。

中央社会保険医療協議会 第109回診療報酬基本問題小委員会

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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