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2007年02月07日

惣菜のフライ:脂肪が多く味付けを濃くした商品も

キーワード
食事療法
 総菜として売られている揚げ物の中に、1食で1日の脂質量の摂取目安に達している商品が多く、そうした商品は利用をひかえめにしないと脂肪の摂り過ぎになるおそれがあることが、国民生活センターの商品テストで判明した。
1食分で1日の脂質の摂取目安を超えるおそれも
 対象になったのは、コロッケ 17銘柄、ロースカツ 11銘柄、ヒレカツ 7銘柄、エビフライ 5銘柄の計40銘柄。コンビニやスーパー、デパート、弁当・総菜専門店で購入した。テストは昨年7月から11月にかけて行われた。

 商品テストでは、惣菜として市販されているフライは手作りのもに比べ衣が厚く、脂質が多いことが分かった。食塩や調味料で味付けを濃くしてある傾向があることも示された。

 ロースかつ1個、またはコロッケ2個を食べると、それだけで脂質を40g以上摂り、ほぼ1日の脂質の摂取目安に達してしまう銘柄もあった。同じとんかつでも、ロースかつに比べヒレかつでは脂質の量が1食分で平均15g低くなり、脂質量を抑えられる。

 動脈硬化の進行を抑えるために、脂質の摂取について注意が必要だ。脂質異常症を予防するためにも、脂っこい食品、コレステロールや飽和脂肪酸の多い食品を特にひかえめにすることが望ましい。また、塩分の摂り過ぎは血圧上昇につながる。塩分をできるだけ減らすことも必要となる。

 国民生活センターの商品テストの結果をまとめると、次の通りになる

  • 脂質の約7割は衣に吸収された油で、中食のフライは手作りに比べ衣の率が高く脂質も多い
     ロースかつ、ヒレかつ、エビフライ、コロッケで、参考とされた手作りのフライより衣の率が高かった。衣の率が高いと揚げ油をそれだけ多く吸収するので、脂質の量が増える。フライから摂取する脂質は、平均で約70%が衣に吸収された油とみられる。

  • ロースかつ1食分で飽和脂肪酸が1日の摂取目安に達してしまうものがあった

  • 摂取することが望ましい不飽和脂肪酸のうち「n-3系脂肪酸」は、多くの銘柄で1日の摂取目安に達しない
     日本人の食事摂取基準(2005年度版)では、脂質について、量だけでなく質も重要と考えられている。脂質の成分である飽和脂肪酸、コレステロール、不飽和脂肪酸のどれも体に必要だが、健康を維持するために摂取のバランスを考えるとることが大切だ。

  • 塩分も多く、1食で食塩が1.7g含まれる商品もあった
     市販されているフライは手作りに比べ、食塩(食塩相当量)が多い傾向があった。最も多いもので、1食分で1.7gの食塩を摂取することになり、これは食事摂取基準の摂取目安(8g未満)の約20%に相当する。
脂質の脂肪酸の種類
 脂質全体の量だけでなく、脂肪酸の種類を考えてちょうどよい量をとることが大切。食事での脂質の摂取が健康にもたらす影響ついて、世界中で研究が行われている。

飽和脂肪酸
  • 飽和脂肪酸をとりすぎると、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪が増え、心疾患の危険性を高めるおそれがあると報告されている。飽和脂肪酸の炭素の数によって、コレステロールに与える働きは異なる。

一価不飽和脂肪酸

  • 摂取する炭水化物の一部を一価不飽和脂肪酸に置き換えると、HDL(善玉)コレステロールが増え、心疾患の危険性が下がることが報告されている。
  • 摂取する飽和脂肪酸の一部を一価不飽和脂肪酸に置き換えると、LDL(悪玉)コレステロールが減り、心疾患の危険性が下がることが報告されている。

多価不飽和脂肪酸

  • 摂取する飽和脂肪酸の一部を多価不飽和脂肪酸に置き換えると、心疾患の危険性が下がることが報告されている。
  • n-3系の多価不飽和脂肪酸を多く含む魚を摂取すると、心疾患の危険性が下がることが報告されている。

コレステロール

  • 血液中のコレステロールが多いと心疾患の危険性が高くなる。コレステロールの摂取量が多いと血液中のコレステロールが増えたり、心疾患の危険性を高めると報告されている。

トランス脂肪酸

  • トランス脂肪酸は、LDL(悪玉)コレステロールを増やし、HDL(善玉)コレステロールを減らすことが報告されている。トランス脂肪酸は、動脈硬化などによる心疾患にかかる危険性を高める。

中食のフライ(概要)−脂質の量と質を中心に利用する上での注意点を探る−

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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