尿糖チェックで糖尿病コントロール

2013年10月30日

本研究を通しての考察

運動効果について

 よく"食後の運動"と言いますが、今回のデータを見てわかるように、実は必ず食後に運動しなくても良いのです。食後血糖値のピークを下げるには、食前に運動するほうがむしろ効果的な場合があります。しかし、人によってはSU薬(スルホニル尿素薬)などで血糖を下げているところに、さらに運動で下げれば、低血糖が起きてしまうかもしれないという懸念があるので、なかなか食前に運動しようとは一概に言いづらい現実もあります。もし、低血糖の可能性がない人でしたら、食前と食後の運動で尿糖がどう変わるかを見てみるとよいと思います。

 もう1つ大切なのは、運動の効果はその時だけではないということ。朝運動したら、夕方、夜、場合によっては夜中までその効果が続きます。運動をしっかりやっていれば、血糖は上がりにくくなり、尿糖も出なくなるでしょう。週3回程度でよいので、息が弾む程度の運動を20分位行いましょう。

尿糖検査は、手軽に食後高血糖の有無がわかる

 血糖値は、食後2時間でほとんどの人がピークを過ぎると思われますから、尿糖をチェックすれば食後高血糖があったかどうかがわかります。SMBGの場合は、針を刺したその時点での数値ですので、上昇過程の値なのか、下降過程の値なのかはわかりません。複数回、あるいはCGMで連続測定しないとピークがどうなっているのか予測は困難なのです。その点、尿糖検査は、前の排尿から次の尿までの時間内で、一定以上の血糖上昇があったかどうかがわかります。

自分のパターンを見つけることが重要

 尿糖自己測定は、食後高血糖をみるのに最適だと思います。まずは、自分がどの程度食べると、または血糖値が上がると、尿糖が出るのかを調べ「閾値」を把握。単にその時、出たか出ないかだけを判断するのではなく、どうすると出て、どうすると出ないのかを分析することが重要です。どのような食事内容や生活パターンで尿糖が出るのか、高血糖になるのかを自分で分析・推測することで、改善の手がかりにすることができるでしょう。空腹時でも尿糖が出てしまうような人は、普段から血糖値が普段から180〜200mg/dL以上に上がっている人です。まずは空腹時に尿糖試験紙の色が変わらないことを目指しましょう。

SMBGとのコラボ使用で費用削減

 食後の確認をSMBGできちんと行おうと思うと測定回数が増えてしまいますが、尿糖自己測定を上手く取り入れることで、血糖測定用センサーの費用削減。SMBGと尿糖検査の両方を必要に応じて使い分けながら日々の状態をチェックする方法も考えられます。

患者さんへ指導する際のポイント

  • 尿糖検査は、前の排尿から次の尿までの「積分値」がわかる。
  • 人によって尿糖が出る「閾値」が違う。血糖値がいくつ以上になると尿糖が出るのかを分析したうえで、活用する。
  • 特に食後60〜90分の血糖ピーク時、食後高血糖があったかどうかを手軽にチェックするのに最適。
  • 食事に炭水化物(糖質)が多く含まれていると血糖値が上がりやすい。甘い飲み物やGI値の高い食べものでは急上昇し、一定以上の高血糖になると尿糖が出る。

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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