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2025年06月06日

ココアがストレスや不健康な食事の影響を解消 緑茶に糖尿病や肥満を改善する効果が

 ココアには、ポリフェノールである「フラバノール」が豊富に含まれ、高脂肪食品を摂取した後でも、ストレスから守る効果を期待できるという研究が発表された。

 緑茶については、糖尿病や肥満などを改善する効果を期待できるという研究も発表されている。

 「糖尿病や肥満を予防・改善するために、簡単に取り組めて続けられる効果的な方法が必要とされています」と、研究者は指摘している。

ココアや緑茶などのポリフェノールがストレスから守る

 ココアや緑茶などには、ポリフェノールである「フラバノール」が豊富に含まれ、高脂肪食品を摂取した後でも、ストレスから守る効果を期待できるという研究を、英国のバーミンガム大学が発表した。

 フラバノールは、ココアやチョコレートの原料になるカカオ豆などに含まれるポリフェノールの一種。抗酸化作用があり、動脈硬化の進行を抑えたり、アンチエイジングの効果がある機能性成分として注目されている。

 「現代社会はストレスに満ちており、ストレスを感じている人は、高脂肪の食品に惹かれることがよくあります」と、同大学生物心理学のフェルドホイゼン ファン ザンテン教授は言う。

 「ストレスがあるときに、つい甘いものや脂肪の多い食品に手を伸ばしたり、プレッシャーの大きい仕事や時間に追われて、不健康と知りながら高カロリーの食べものに頼ってしまったという経験を誰もがもっています」。

 同大学の過去の研究では、高脂肪食品をとりすぎると、血管機能と脳への酸素供給に悪影響があらわれる可能性が示されている。

 今回発表した新たな研究では、脂肪の多い食事と、フラバノールを多く含む無糖のココアを組み合わせると、高脂肪の食事の悪影響の一部が打ち消され、血管をストレスから守れることが示された。

不適切な食事による血管への悪い影響を軽減

 「フラバノールはココア以外にも、野菜、お茶、ナッツ類、果物などのさまざまな食品に含まれています。緑茶の苦味成分であるカテキンも、フラバノールに分類されます」と、同大学栄養科学部のロザリンド ベイナム氏は言う。

 「今回の研究で、フラバノールを多く含む食品を摂取したり飲んだりすることで、不適切な食事が血管に与える悪い影響を軽減できるかを調べました」としている。

 これまでの研究で、脂肪の多い食品は、ストレスからの血管の回復を阻害する可能性があることが示されているという。今回の研究の成果は、「Food & Function」に発表された。

食事に小さな工夫を取り入れると大きな違いが

 「今回の研究は、ストレスの多いときに食べたり飲んだりする食品について、ヒントを与えるものです。食事に小さな工夫を取り入れることが、大きな違いをもたらす可能性があります。加工食品を利用するときは、糖質や脂肪を加えていないものを選ぶことも大切です」と、ベイナム氏は述べている。

 研究グループは今回、健康な若年成人23人を対象に、朝食として、バターを塗ったクロワッサン、チェダーチーズ、全脂肪乳といった高脂肪の食事をしてもらい、フラバノールの含まれるココア飲料も摂取してもらった。FMD(血管内皮機能検査)検査などを行い、血管機能も調べた。

 その結果、精神的ストレスを受けているときに、脂肪分の多い食品とともにフラバノール飲料を摂取すると、血管機能の低下を防ぐのに効果的であることが示された。ストレスを受けてから30分後と90分後に、高フラバノールのココアを摂取した群では、血管の拡張が上昇していた。

緑茶にも糖尿病や肥満を改善する効果が

 緑茶についても、糖尿病などを改善する効果を期待できるという研究が発表されている。これまでも、緑茶を飲むと、コレステロール、血糖、中性脂肪が改善することが報告されている。

 カテキンが多く含まれる緑茶を飲む習慣により、メタボや肥満のある人は腸の健康を改善でき、糖尿病のリスクのある人は血糖値を下げることを期待できることが、米オハイオ州立大学による別の研究で示された。詳細は、「Current Developments in Nutrition」に掲載された。

 研究グループは、メタボや肥満のある人を含む40人の成人を対象に、緑茶抽出物であるカテキンを28日間摂取してもらうランダム化二重盲検クロスオーバー試験を行った。

 その結果、カテキンを摂取した参加者は、空腹時血糖値が下がり、腸内環境が改善し、腸の炎症が軽減された。緑茶を1日に5杯飲むと、同じくらいの量のカテキンを摂取できるという。

糖尿病や肥満を予防・改善するために簡単に取り組める方法が必要

 「緑茶の成分を1ヵ月近く摂取することで、メタボや肥満のある人と健康な人の両方の血糖値が下がりました。腸の透過性や炎症の改善もみられました」と、同大学人間科学部のリチャード ブルーノ氏は言う。

 「糖尿病や肥満を予防・改善するために、簡単に取り組めて続けられる効果的な方法が必要とされています」としている。

 1ヵ月という短い期間で、糖尿病、肥満やメタボなどのリスクをすべてなくせるわけではないが、生活のなかで少しでも取り組みやすい健康的な習慣をみつけて続けることが大切だとしている。

Cocoa could protect you from the negative effects of fatty foods during mental stress - study (バーミンガム大学 2024年11月18日)
Cocoa flavanols rescue stress-induced declines in endothelial function after a high-fat meal, but do not affect cerebral oxygenation during stress in young, healthy adults (Food & Function 2024年)
Green tea extract promotes gut health, lowers blood sugar (オハイオ州立大学 2022年7月26日)
Catechin-Rich Green Tea Extract Reduced Intestinal Inflammation and Fasting Glucose in Metabolic Syndrome and Healthy Adults: A Randomized, Controlled, Crossover Trial (Current Developments in Nutrition 2022年6月)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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