ニュース

2025年07月03日

暑い夏の運動は涼しい夕方以降に ウォーキングが糖尿病や肥満を改善 週末1日だけの運動も効果は高い

 ウォーキングなどの運動を続けることが大切であることは理解していても、暑い夏には熱中症も予防しなければならないので、運動を行うのは難しくなる。

 2型糖尿病や肥満のある人は、涼しい夕方の午後6時以降に運動を行うと、長期的に健康を改善できることが明らかになった。

 平日にウォーキングなどの運動を行う時間をなかなかとれないという人も、週末の1~2日にまとめて行うと、やはり健康増進の効果を期待できることも示された。

暑い夏の運動は涼しい夕方以降に

 2型糖尿病や肥満のある人は、夕方の午後6時からウォーキングなどの運動を行うと、長期的に健康を改善できる可能性があることが、オーストラリアのシドニー大学の研究で明らかになった。研究成果は「Diabetes Care」に発表された。

 「日中は忙しく過ごしていて、運動をする時間をとれるのは夕方や夜だけだという人も多いだろうと思います。また、暑い夏には熱中症も予防しなければならないので、日中に運動をするのは難しくなります」と、同大学健康科学部のマシュー アフマディ氏は言う。

 「そうした人でも、夕方や夜間に行う運動は、多くの健康上のメリットをもたらす可能性があります。とくに糖尿病や肥満のある人にとって、運動を行うことは大切です」としている。

夕方以降のウォーキングが糖尿病や肥満を改善

 研究グループは、大規模研究である英国バイオバンクに参加した肥満のある40歳以上の成人2万9,836人を平均7.9年間追跡して調査した。うち1割にあたる2,995人は、2型糖尿病と診断されていた。

 その結果、夕方以降にウォーキングなどの活発な運動を行っている人は、死亡リスクが61%ともっとも多く低下し、午後に行っている人も40%低下した。

 夕方に活発な運動を行っている人は、心筋梗塞や心不全などの心血管疾患(CVD)のリスクも36%低下し、腎臓病などの細小血管疾患のリスクも24%低下した。

 とくに糖尿病のリスクのある人は、夕方以降に心拍数が上がり、少し汗ばむくらいの活発な運動を行っていると、心臓病やあらゆる原因による死亡のリスクが低下することが分かった。

 朝に運動をしている人も死亡リスクは33%低下し、改善効果があることも分かったが、そうした人は少数で、大部分の人は午後6時から夜にかけて運動を行っていた。

運動のタイミングが糖尿病の管理に役立つ可能性

 「因果関係を確かめるために、さらに研究が必要になりますが、今回の研究は、運動や身体活動を行うタイミングが将来の2型糖尿病や肥満の管理や、予防に役立つ可能性があることを示しています」と、同大学健康科学部のエマニュエル スタマタキス教授は言う。

 「ただし、時間のあるときに、いつでも運動や身体活動を行うのが良い考えであることも付け加えおきます」。

 「なるべく1日に運動ができる時間をみつけて、少し早歩きしてみる、階段の上り下りをする、家の掃除などの家事をするなど、体を積極的に動かすことことが、健康改善に役立ちます」としている。

 運動を習慣として行うと、あらゆる原因による死亡リスク、心血管疾患、がんなどのリスクを減らすことができ、血糖、体重、コレステロール、血圧などの管理も良くなり、メンタルヘルスの改善も期待できるとしている。

土曜日・日曜日だけの運動でも健康を改善できる
週末の1~2日に運動をまとめて行うと効果が

 運動が健康に良いことを理解していていも、現代人は忙しく、運動習慣のない人がいきなりウォーキングなどの運動の時間をつくるのは大変だ。現状の生活スタイルを変えるのもなかなか難しい。

 そうした人に朗報がある。スタマタキス教授らの別の研究では、平日にウォーキングなどの運動を行う時間をなかなかとれない人でも、週末の1~2日にまとめて行うと、やはり健康増進の効果を期待できることが示された。研究成果は米国医師会誌「JAMA Internal Medicine」に発表された。

 研究グループは、イングランドとスコットランドに在住している6万3,591人の成人を対象に、1994~2012年に調査を行った。

 週末にまとめて推奨されている運動量をこなしている人々を「ウィークエンド運動家」と呼び、毎日運動をしている人と比べた。

 その結果、まったく運動をしていない人に比べ、「ウィークエンド運動家」は、総死亡リスクが30%、心血管疾患死リスクは40%、がん死亡リスクは18%、それぞれ低下することが明らかになった。

 一方で、「1週間かけてまんべんなく運動をしている人」では、総死亡リスク35%、心疾患のリスクは41%、がん死亡リスクは21%、それぞれ低下した。

 「運動の効果がもっとも高かったは、ウォーキングなどの運動を毎日続けている人でしたが、土曜日や日曜日にまとめて行うだけでも、かなりの効果を見込めることが分かりました。運動はいつ行っても、まったく運動しない場合に比べ、大きな恩恵をもたらします」と、スタマタキス教授は述べている。

Does the time of day you move your body make a difference to your health? (シドニー大学 2024年4月10日)
Timing of Moderate to Vigorous Physical Activity, Mortality, Cardiovascular Disease, and Microvascular Disease in Adults With Obesity (Diabetes Care 2024年4月10日)
'Weekend Warriors' share health benefits (シドニー大学 2017年1月10日)
Association of "Weekend Warrior" and Other Leisure Time Physical Activity Patterns With Risks for All-Cause, Cardiovascular Disease, and Cancer Mortality (JAMA Internal Medicine 2017年3月)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲