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2020年03月23日

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ライフスタイル 糖尿病とがん 運動療法

長時間座ったまま仕事をすると、がんリスクが上昇 糖尿病の人はがんリスクが高い

 長時間座ったまま仕事をしていると、がんのリスクが上昇するという、3万人超の日本人を対象とした研究が発表された。運動不足により「インスリン抵抗性」や「慢性炎症」が亢進しやすくなるという。
 リモートワークで運動不足になっている人にとっては気になる結果だ。
リモートワークで運動不足の人は要注意
 糖尿病の医療は進歩しており、糖尿病とともに生きる人が長寿を保つことは珍しいことではなくなった。一方で、糖尿病のある人は、がんのリスクが高いことが分かっている。日本糖尿病学会と日本癌学会の合同委員会の調査によると、2型糖尿病のヒトはがんリスクが20%ほど高い。

 糖尿病のある人の死因の第1位はがんだ。食事療法と運動療法は、糖尿病の治療の両輪とされている。糖尿病を改善するための運動が、がん予防にも役立つ可能性がある。
長時間座ったまま仕事をして運動不足に
 新型コロナウイルスの影響により、各地でリモートワークが推進されている。移動時間が減るなどのメリットがある一方で、家から一歩も出ないで過ごすという人も少なくなく、運動不足が懸念される。

 リモートワークで運動不足になっている人にとって、気になる研究が発表された。長時間座ったまま仕事をすると、がんのリスクが上昇するというものだ。

 これまでの研究でも、身体活動量が高い人ほど、がんになるリスクが低下することが示されている。とくに、高齢者や、休日などに運動やスポーツをする頻度の高い人では、がんになりにくことが分かっている。

 運動をすることで、男性では、結腸がん、肝臓がん、膵臓がん、女性では胃がんなどのリスクが低下するという報告がある。

関連情報
日本人は座ったまま仕事をする時間が長い
 仕事中の座位時間が長い日本人は、がんの発症リスクが上昇する傾向があることが、3万3,000人以上を対象とした大規模調査で明らかになった。

 近年、日常生活の中で長時間座っていることが健康に与える影響について関心が高まっている。複数の研究をまとめたメタ解析では、仕事の座位時間が長いと、ふだん適度に運動をしていても、がんのリスクが高くなることが報告されている。

 しかし、座位時間が長く、その中でも仕事中の座位時間が占める割合が多いと報告されている日本人については、仕事中の座位時間とがん罹患リスクについては調べられていない。

 そこで研究グループは、日本人を対象に、職業性の座位時間とがん罹患との関連を調査した。研究成果は、医学誌「Cancer Science」に掲載された。
仕事中に座ったままの時間が長いと、がんリスクが上昇
 国立がん研究センターが中心となり実施されている「JPHC研究」は、日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 対象となったのは、JPHC研究に参加した、2000年と2003年に国内の10保健所の管轄地域(岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎、大阪)に在住していた、がんや循環器疾患にかかっておらず、アンケートに回答した50~74歳の3万3,307人で、2013年まで追跡調査が行われた。

 仕事中の座位時間を、「1時間未満」「1~3時間未満(基準)」「3~5時間未満」「5~7時間未満」「7時間以上」の5つのグループに分け、平均約10年間の全てのがん罹患との関連を調べた。

 さらに、胃、食道、大腸、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、子宮体部における部位別のがんの発症についても調べた。分析にあたって、年齢、地域、肥満度、喫煙、飲酒、余暇の身体活動、糖尿病の有無などを統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除いた。

 その結果、男性では、統計学的に有意ではないものの、職業性座位時間が長いほど、がん全体の罹患リスクが高くなる傾向がみられた。部位別にみると、座位時間が長いほど男性の「膵臓がん」の罹患リスクが高いことが示された。

 また、統計学的に有意ではないが、1時間未満を基準としたときに、職業性座位時間が長いほど男性の「結腸がん」のリスクが高い傾向がみられた(傾向性p=0.06)。

 一方、女性では、職業性座位時間が長いほど、「肺がん」の罹患リスクが高いという関連がみられた。

運動不足で「インスリン抵抗性」や「慢性炎症」が亢進
 今回の研究では、職業性座位時間が長いことは、男性の膵臓がん、女性の肺がんリスクが高いことと関連する可能性が示唆された。

 その理由として、血糖を下げるインスリンが体で効きにくくなる「インスリン抵抗性」や、がん細胞を増やしやすくする「慢性炎症」が考えられる。内臓脂肪型肥満や運動不足などは、これらが進行するのを促すことが分かっている。

 身体活動の低下によるインスリン抵抗性の促進や慢性炎症などが、がん全体の共通したリスクになり、とくにインスリン抵抗性と関連の深い膵臓がんでリスクが上昇した可能性が考えられる。

 また、女性の肺がんについては、職場における肺がんのリスク要因と報告されている受動喫煙などの影響があったかもしれない。

 男性では、結腸がんのリスクが高くなる可能性も示された。欧米の研究で、職業性座位時間が長いと、肥満を介して結腸がんのリスクになることが報告されており、今回の結果は、欧米の研究ほどはっきりとした結果はみられなかったが、日本人でも関連がある可能性を示している。

 研究グループは今後の研究で、職業性座位の継続時間や中断時間など、座位行動の詳細まで調べた調査が必要で、また現在では職業性座位時間の長い女性も増えており、女性を対象とした詳細な調査も必要としている。
立ち上がって体を動かすことが大切
 厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、▼ウォーキングやそれと同等以上の強度の身体活動を毎日60分行い、▼息がはずみ、汗をかくくらいの運動を週に60分程度行うことが推奨されている。

 すべての世代に、「現在の身体活動量を少しでも増やすこと」「運動習慣をもつようにすること」が推奨されているが、とくに65歳以上の高齢者では「強度を問わず、身体活動を毎日40分行うこと」が勧められている。

 座ったまま過ごす時間が毎日長く、運動不足が気になっている人は、10分でも時間をみつけて、立ち上がって体を動かすことを心がけた方が良い。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Occupational sitting time and subsequent risk of cancer: The Japan Public Health Center‐based Prospective Study(Cancer Science 2020年1月11日)
[ Terahata ]

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