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2016年04月11日

日本の糖尿病の医療費は8兆円 世界第7位の糖尿病大国に

 世界の糖尿病の医療費は年間に90兆円に増え、日本は8兆円に上るという調査結果を国際的な研究チームが発表した。日本の糖尿病人口は1,000万人を超え、世界第7位の糖尿病大国となった。
日本は世界第7位の糖尿病大国
 世界の糖尿病の医療費は90兆円(8,250億ドル)に上るという調査結果も発表された。糖尿病の医療費は、中国で18.5兆円(1,700億ドル)、米国で11.4兆円(1,050億ドル)、インドで8兆円(730億ドル)に上る。日本の糖尿病の医療費は8兆円(730億ドル)に上り、世界の上位に名を連ねている。

 調査は、米国のハーバード大学公衆衛生大学院、米国のハーバード公衆衛生大学院、英国のインペリアル カレッジ ロンドン、世界保健機構(WHO)の研究チームを中心に、世界中の約500人の研究者の協力を得て行われた。結果は医学誌「ランセット」に発表された。

 糖尿病の人が血糖コントロールが不良な状態が続くと、心臓病、腎臓病、網膜症による視力障害、動脈硬化が引き起こす下肢切断など、さまざまな合併症を発症する。糖尿病の医療費は、糖尿病の治療にかかる直接的な医療費に加え、そうした合併症の医療費も含まれる。

 糖尿病による負担を軽減するために、なによりも必要なことは長期にわたり良好な血糖コントロールを維持し、血圧や脂質プロファイルも改善し、合併症を予防することだ。

 「合併症を発症すると、糖尿病患者の生活の質(QOL)が著しく低下するだけでなく、医療費も膨大になります。このまま糖尿病が増え続け、合併症を発症する患者が増加すると、医療費の膨張により医療財政が破綻に追い込まれる国が出てくるおそれがあります」と、インペリアル カレッジ ロンドン公衆衛生学部のマジッド エザティ教授は言う。
日本の糖尿病人口は30年余で2倍以上に増加
 世界の成人の糖尿病人口は1980年に1億800万人(発症率 5%)だったのが、2014年には4倍の4億2,200万人(同 7.9%)に増加した。有病率は男性では4.3%から9.0%に、女性では5.0%から7.9%にそれぞれ上昇した。

 糖尿病人口の多い上位10ヵ国は、(1)中国(1億290万人)、(2)インド(6,450万人)、(3)米国(2,240万人)、(4)ブラジル(1,170万人)、(5)インドネシア(1,170万人)、(6)パキスタン(1,100万人)、(7)日本(1,080万人)、(8)ロシア(1,070万人)、(9)エジプト(860万人)、(10)メキシコ(860万人)――となっている。

 34年間で糖尿病有病者の数の上昇を抑えるのに成功している国もある。有病者数はドイツでは340万人(1980年)から510万人(2014年)に、イタリアは240万人から430万人に、英国は230万人から380万人に増えたが、世界の糖尿病人口の伸びに比べると少ない数字だ。

 スイス、オーストリア、デンマーク、ベルギー、オランダなど、糖尿病の増加を食い止めるのに成功している国もある。これらの国では糖尿病有病率は4%台に抑えられている。

 一方、日本は有病者数は470万人(1980年)から510万人(2014年)に1,080万人と、2倍以上に増えた。政府や医療機関はさまざまな対策をしているが、糖尿病抑制の効果はあらわれていない。
糖尿病の初期の段階で治療すれば合併症を予防できる
 「糖尿病予備群の段階であるいは糖尿病の初期の段階で、効果的に治療を行い合併症を予防することが重要です。それを実行するために保健システムを整備し、医療財政を確保する必要があります」と、エザティ教授は言う。

 糖尿病予備群の段階で、食事や運動などの生活習慣の改善や、必要に応じて薬物療法による介入をする必要も説かれている。これは欧米諸国で実際に行われはじめている。

 糖尿病の遺伝的要因をさぐる研究も進歩している。近年の研究で糖尿病の発症につながる遺伝子が次々と発見されている。近い将来に糖尿病に関連する遺伝子を調べ、その遺伝子をもっている人を対象に若いうちから食事などの生活習慣の改善を指導する医療が実現化する可能性もある。

 「効果的な糖尿病対策は、ヒトの誕生の時点からはじめる必要があります」と、ハーバード公衆衛生大学院国際健康学部のグッダーズ ダナイ氏は言う。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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