ニュース
2015年05月19日
次世代基礎インスリン「Toujeo」の承認を欧州で取得
- キーワード
- 医薬品/インスリン
サノフィは4月28日、欧州委員会(EC)が次世代基礎インスリンの「Toujeo」(一般名:インスリン グラルギン[遺伝子組換え]注射剤、300 U/mL)の製造販売を承認したと発表した。
より安定した血糖コントロールを達成
Toujeoは、ベネフィット/リスクプロファイルが確立され、幅広く使用されている「ランタス」(一般名:インスリン グラルギン[遺伝子組換え]注射剤、100 U/mL)と同じインスリン分子をベースとする、1日1回投与の次世代基礎インスリン製剤。皮下に滞留した微細な沈殿物が緩徐に溶解することで、より長時間にわたって安定した薬物動態学的・薬力学的(PK/PD)プロファイルが得られるという。
欧州委員会によるToujeoの承認は、EDITION臨床試験プログラムの結果に基づいたもの。同プログラムは、現在の治療でコントロール不良の1型および2型糖尿病成人患者3,500人以上を対象とし、同剤の有効性と安全性をランタスと比較して評価した国際共同第3相試験から構成されている。
同試験の結果、Toujeoはランタスと同様の血糖コントロールと、良好な安全性プロファイルを示した。同剤は、2型糖尿病患者において、ランタスと比較して1日(24時間)および夜間の低血糖のリスクを有意に軽減。また1型糖尿病患者においては、ランタスと比較して、より安定し、より予測性の高い24時間以上の血糖コントロールを達成し、血糖値の被験者内変動も少なくなったという。
血糖コントロールが安定して変動が少なく、低血糖の発現率が低い
基礎インスリンは、数十年間にわたり糖尿病治療の要となっているが、現実的な問題として約半数の患者さんが血糖値の目標レベルを達成できておらず、まだ満たされていない医療上のニーズ(アンメットニーズ)が大きい。また、治療導入期と維持期でインスリンが至適用量まで到達していないことも多くある。
「インスリン治療が必要な糖尿病患者さんの多くは十分な血糖コントロールができていません。Toujeoは、2型糖尿病患者さんにおいて、血糖コントロールが安定して変動が少なく、低血糖の発現率が低いため、アンメットニーズを満たす新たな治療選択肢となります」と、ミュンヘン市民病院シュワビング病院のRobert Ritzel教授は述べている。
今回の欧州での承認は、EU加盟28か国、アイスランド、リヒテンシュタインとノルウェーに適用される。今回の承認は、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)が2015年2月26日に採択した肯定的見解を受けて行われたという。
Toujeoは、米国食品医薬品局(FDA)の承認を既に取得しており、現在は世界各国の規制当局で審査中。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
医薬品/インスリンの関連記事
- 世界初の週1回投与の持効型溶解インスリン製剤 注射回数を減らし糖尿病患者の負担を軽減
- インスリン注射の「飲み薬化」を目指すプロジェクトが進行中!ファルストマと慶応大学の共同研究による挑戦[PR]
- 水を飲むと糖尿病や肥満が改善 水を飲む習慣は健康的 高カロリーの飲みものを水に置き換え
- 【1型糖尿病の最新情報】幹細胞由来の膵島細胞を移植する治療法の開発 危険な低血糖を防ぐ新しい方法も
- 糖尿病の治療薬であるGLP-1受容体作動薬が腎臓病のリスクを大幅に低下 認知症も減少
- JADEC(日本糖尿病協会)の活動 「さかえ」がWebページで閲覧できるなど「最新のお知らせ」からご紹介
- 【世界糖尿病デー】インスリン治療を続けて50年以上 受賞者を発表 丸の内では啓発イベントも
- 【インフルエンザ流行に備えて】糖尿病の人は予防のために「ワクチン接種」を受けることを推奨
- 糖尿病治療薬のメトホルミンが新型コロナの後遺症リスクを軽減 発症や死亡のリスクが21%減少
- 【1型糖尿病の最新情報】iPS細胞から作った膵島細胞を移植 日本でも治験を開始 海外には成功例も