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2015年01月13日
SGLT2阻害薬に「脱水」の副作用 7製品の添付文書改訂を指示
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- 医薬品/インスリン

糖尿病の新薬「SGLT2阻害薬」を服用した患者18人が重い脱水症状を起こしたことを受け、厚労省医薬食品局は薬の服用との因果関係が否定できないとして、副作用で脱水症状が起きるおそれ、高齢者らへの慎重な投与の必要性を薬の添付文書に明記するよう製薬会社に指示した。
18人が重い脱水症状 慎重な投与を
SGLT2阻害剤は、インスリン分泌能の低下やインスリン抵抗性に関わりなく、過剰なグルコースを尿中に排出することにより血糖値を下げる薬剤。2014年4月以来これまでに5成分6製品が発売され、14年12月にも1製品が承認された。
同省が「脱水症状との因果関係が否定できない」と判断したのは、アステラス製薬の「スーグラ錠」、ブリストル・マイヤーズの「フォシーガ錠」、サノフィの「アプルウェイ錠」、興和創薬の「デベルザ錠」の4剤。
[慎重投与]の項に「脱水を起こしやすい患者(血糖コントロールが極めて不良の患者、高齢者、利尿剤併用患者等)」を追記するよう求めた。
その上で
▽適度な水分補給を行うよう指導し、観察を十分に行う
▽口渇、多尿、頻尿、血圧低下等の症状で脱水が疑われる場合には、休薬や補液等の適切な処置を行う
▽脱水に引き続き脳梗塞を含む血栓・塞栓症等を発現した例が報告されているので、十分注意する
ことを明記し、医療従事者に対応を求めた。
改訂指示があったのは、以下の6成分7製品――
スーグラ錠 (成分名:イプラグリフロジン) |
---|
アステラス製薬 販売:寿製薬、MSD 2014年4月発売 |
フォシーガ錠 (成分名:ダパグリフロジン) |
ブリストル・マイヤーズ 販売:アストラゼネカ、小野薬品工業 2014年5月発売 |
アプルウェイ錠 (成分名:トホグリフロジン) |
サノフィ 2014年5月発売 |
デベルザ錠 (成分名:トホグリフロジン) |
興和 2014年5月発売 |
ルセフィ錠 (成分名:ルセオグリフロジン) |
共同販売:大正富山医薬品、ノバルティスファーマ 2014年5月発売 |
カナグル錠 (成分名:カナグリフロジン) |
共同販売:田辺三菱製薬、第一三共 2014年9月発売 |
ジャディアンス錠 (成分名:エンパグリフロジン) |
共同販促:日本ベーリンガーインゲルハイム、日本イーライリリー 2014年12月承認 未発売 |
脱水の報告があったのは、イプラグリフロジン26例、ダパグリフロジン6例、トホグリフロジン9例で、このうち因果関係が否定できないと判定されたのは、順に13例、2例、3例の計18例だった。
ダパグリフロジンとトホグリフロジンでは死亡例が1例ずつあったが、因果関係が否定できない症例は0例だった。
ルセオグリフロジン、カナグリフロジン、エンパグリフロジジについては脱水の報告がなかったものの、SGLT2阻害薬が浸透圧利尿作用を有し、同様の事象が発現すると考えられることから、改訂することが適切と判断された。
また、トホグリフロジンについては、6例(うち因果関係が否定できない症例は2例)の腎盂腎炎が報告されたため、重大な副作用に追記することになった。
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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