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2012年09月03日
タマゴの食べすぎで心臓病リスクが上昇
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- 食事療法

この研究は、カナダのウェスタン大学のデービッド・スペンス博士らの研究チームが、ロンドン健康科学センター大学病院の脈管予防クリニックに通院する中間年齢が61.5歳の1,231人の男女を対象に行ったもの。参加した患者は、すでに軽い心筋梗塞を経験していたか、高血圧や心疾患の家族歴をもっていた。
アテローム性動脈硬化症とは動脈硬化の一種で、高血圧や高血糖などの理由により血管内膜が傷つき、その隙間から入ってきたコレステロールなどが血管壁にたまってできた「プラーク」が原因で起こる。初期の段階では自覚症状はないが、脳梗塞、心筋梗塞などの重篤な病気の原因となる。
冠動脈にプラークがどれだけできているかを知るために、スペンス博士らは血管内エコー検査を行った。血管内エコー検査は、冠動脈の血管の中を超音波で画像化したもの。これを行うと、血管のどの部分が、どのくらい細くなっているかなどがわかる。
患者にアンケート調査に答えてもらい、食事や生活スタイル、薬物療法、喫煙などに加えて、タマゴをどれだけ食べているかを調べた。その結果、年齢が40歳をすぎており、タマゴを食べる頻度が高いと、冠動脈のプラークが増えることがわかった。週にタマゴを3回以上の食べている人では、1回食べる人に比べプラークが目立って増えていた。
喫煙もアテローム性動脈硬化症の重大な危険因子だが、タマゴを食べすぎている人ではプラークのでき方が、喫煙者に比べ3分の2程度まで悪化していたという。
「タマゴは栄養価の高いすぐれた食品だが、同時にコレステロールの含有量も高い。コレステロールの過剰な摂取が心血管イベントのリスクを高めることは、よく知られている。糖尿病患者では、タマゴを食べすぎると、心筋梗塞などの危険性が2〜5倍に上昇するという報告もある」とスペンス博士は話す。
心筋梗塞などの心臓病を予防するために勧められるのは、▽運動を習慣的に行うこと、▽コレステロールや飽和脂肪酸を多く含む食品を制限すること、▽適正な体重を維持することだ。これに「タマゴを食べる頻度を週に4個までに制限すること」を加えると、さらによくなるという。
「心疾患などの既往症があったり、動脈硬化を心配する患者の食事指導では、むしろ魚を積極的にとることを勧める。魚には良質なタンパク質が含まれるだけでなく、EPAやDHAなどが動脈硬化性疾患やメタボリックシンドロームといったさまざまな疾患を予防する効果が報告されている。魚の積極的な摂取のメリットは大きい」とスペンス博士は強調している。
Egg yolk consumption almost as bad as smoking when it comes to atherosclerosis(ウェスタン大学 2012年8月13日)
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